『歩兵の本領』は1970年頃の陸上自衛隊の隊員達、軍隊風の言い方をすれば歩兵達の物語です。
自衛隊物で最近印象深いのは福井晴敏『亡国のイージス』(講談社)や古処誠二の『UNKNOWN』『未完成』(講談社ノベルス)ですが、この本も面白い事に講談社です。

構成は同じ部隊内の話で主人公を変えた短編集になっています。自衛隊と言う軍隊ならぬ軍隊。その一般社会とは隔絶感のある世界の矛盾、懊悩、そしてその中で生きる人間の生き様を淡々と描く事によって、静かな余韻を読み手に残す書き方はやはり浅田次郎の本領なのでしょう。

著者自身、高校卒業後自衛隊に入隊しているわけで一種の自叙伝と考えても良いのではないでしょうか。他の著書とは一線を画した淡々としたその筆致は自らの経験に重ねての気恥ずかしさがあるのかもしれません。
最後の四行が著者の独白なのだろう、その独白を引用してとりあえず終えますが。

『変わりゆく時代の中で、反動と呼ばれようが偏屈者とののしられようが、かつて軍人であった矜りを捨ててはならなかった。銃も剣も国に返したが、返納してはならぬ歩兵の本領を、老いても尽きぬ背骨に、私はしっかりと刻みつけていた。』


さて、外務大臣、外務事務次官、自民党議会運営委員長の辞任を持って三方一両損の決着が図られた例の件ですが。
どうせ野上氏は退職金たんまり貰って一年くらいほとぼり冷ました後に某鈴木氏の肝煎りあたりで天下るんでしょうし。某鈴木氏自体は党の委員長の役職を降りるくらい痛くも痒くもないでしょうし。まあ、田中真紀子一人負けなんでしょうね。
いやー、某鈴木氏の笑い顔がいかにも悪役っぽくてイヤになりますね(苦笑)。
結局罷免した小泉首相もダメージを受けてるわけですから得をしたのは某鈴木氏や野中氏、ひいては橋本派と言う事で。納得行かない事しきりですな。ま、矛盾だらけの世の中でございます。

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鴉

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