今日の日記
2002年12月18日浅田次郎の『シェラザード 上・下』講談社文庫
を読了。
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/Scripts/bookclub/intro/intro.idc?id=34982
『日輪の遺産』以来の第二次世界大戦末期と現代を行き来する形のお話ですが。
今回はちょっと中途半端な終わり方と言うか、過去の題材は良いのですが、現代の方のストーリーが未消化な部分が多く、感情移入が難しい話でした。面白くないわけでは無いんですが、浅田次郎作品の中ではちょっと肩透かしな作品でした。
絶対に沈まないはずでありながら、しかし、確実に沈められる運命にある弥勒丸。
沈み行く運命の船にそれでもシンガポールから内地を目指して乗り込んでいく民間人達。
ある混血の跡取り息子を乗船させようとする男に、船の運命をおぼろげにせよ知った軍属の青年はこう言います。
「混血児を殺してはいけない。彼らはシンガポールの子供だから。日本が夢に見た、大義の申し子だから。日本人がみな死んでも、彼らを一人たりとも殺してはいけない。」
大東亜共栄圏と言う、政治的粉飾に満ちたその言葉を『大義』として戦争を生きた、そうして生きるしかなかった、当時の人々の絞り出すような言葉が印象に残りました。
を読了。
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/Scripts/bookclub/intro/intro.idc?id=34982
『日輪の遺産』以来の第二次世界大戦末期と現代を行き来する形のお話ですが。
今回はちょっと中途半端な終わり方と言うか、過去の題材は良いのですが、現代の方のストーリーが未消化な部分が多く、感情移入が難しい話でした。面白くないわけでは無いんですが、浅田次郎作品の中ではちょっと肩透かしな作品でした。
絶対に沈まないはずでありながら、しかし、確実に沈められる運命にある弥勒丸。
沈み行く運命の船にそれでもシンガポールから内地を目指して乗り込んでいく民間人達。
ある混血の跡取り息子を乗船させようとする男に、船の運命をおぼろげにせよ知った軍属の青年はこう言います。
「混血児を殺してはいけない。彼らはシンガポールの子供だから。日本が夢に見た、大義の申し子だから。日本人がみな死んでも、彼らを一人たりとも殺してはいけない。」
大東亜共栄圏と言う、政治的粉飾に満ちたその言葉を『大義』として戦争を生きた、そうして生きるしかなかった、当時の人々の絞り出すような言葉が印象に残りました。
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