ISBN:4062648806 文庫 恩田 陸 講談社 2001/07 ¥700

暫く日記を休んでいたのはいつものさぼり癖なのだが、あまり書くようなインパクトのある本や漫画が出ていなかったのも確かか。

久しぶりにミステリが読みたくなって通りがかりの本屋を覗いた。
で、出会ったのがこの本。
実はかなり昔一回読んでいる。何せ1997年発行の本なのである。
恩田陸、と言う作家は間違いなく当代でも有数のミステリ作家である。いかにも幻想的な、女性の明るい面と暗い面を合わせたような文章を書く作家さんで作品の面白さは折り紙付きだ。
ただ、幻想的な、と書いただけに読みにくい部分や捉えどころの無い部分、あるいは複雑な構成を持っている部分があり、さらっと読み下しは出来ない。連続して読むと疲れる作家さんでもある。
そんなわけでひさしぶりに読んでみる気力が沸いたと言う事だ。
この作品はその後、三月シリーズとして作品内の様々なエピソードが独立して書かれている。言わば恩田作品の原点にかなり近い作品だ。
作内では幻の本と呼ばれる『三月は深き紅の淵を』を今自分が読んでいると言う入れ子的構成で中身は四章に分かれている。作内の三月と今読んでいる三月が微妙にリンクしながら一章づつ完結で話は進んでいく。それぞれの章とも読み応えがあり、不思議な感覚に捉われる。
恩田作品の入門書として一度手にとって戴きたい本だ。

コメント

鴉

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