ISBN:4167679167 文庫 若竹 七海 文芸春秋 2004/07 ¥760
探偵と言ってもいかにもミステリ小説的なあの『探偵』ではなく、普通の日本の探偵業。しかも雇われである。
どうも読んでいて息苦しいのはこれでもかとばかりにイヤな人間ばかりが出てくる所だが、逆に言えば人間誰しも多かれ少なかれ何処かにバランスに欠けた部分を持っている訳で、それを極端にした形で抉り出す所が若竹七海の人間を書くと言う事なのかもしれない。
理不尽な人々の自分勝手な要求に振り回されながら、一度関わった事件に知らん振りも出来ず深く足を踏み込んでしまう葉村。
読んでいると依頼人や葉村に関わる人々の我侭さ加減にイヤになるのだが、逆に考えてみればいくら自分から頼み込んだ事とは言え探偵に私生活を覗かれ、矛盾を追及され、なんとか形を保っていたものを破壊されるその様は反発するに足るモノなのかも知れない。
結局大して救われない解決と共に、また日常が戻ってくる。そのあえて余韻を残さない潔さが非常に好ましいのは贔屓の引き倒しであろうか。
女探偵・葉村晶(あきら)は、家出中の女子高校生ミチルを連れ戻す仕事で怪我を負う。一ヶ月後、行方不明のミチルの友人・美和探しを依頼される。調査を進めると、他にも姿を消した少女がいた。彼女たちはどこに消えたのか? 真相を追う晶は、何者かに監禁される。飢餓と暗闇が晶を追いつめる……好評の葉村晶シリーズ、待望の長篇!先日読んだ『依頼人は死んだ』に登場する女探偵葉村晶を主人公にした長編。
(文芸春秋書誌ファイルより引用)
探偵と言ってもいかにもミステリ小説的なあの『探偵』ではなく、普通の日本の探偵業。しかも雇われである。
どうも読んでいて息苦しいのはこれでもかとばかりにイヤな人間ばかりが出てくる所だが、逆に言えば人間誰しも多かれ少なかれ何処かにバランスに欠けた部分を持っている訳で、それを極端にした形で抉り出す所が若竹七海の人間を書くと言う事なのかもしれない。
理不尽な人々の自分勝手な要求に振り回されながら、一度関わった事件に知らん振りも出来ず深く足を踏み込んでしまう葉村。
読んでいると依頼人や葉村に関わる人々の我侭さ加減にイヤになるのだが、逆に考えてみればいくら自分から頼み込んだ事とは言え探偵に私生活を覗かれ、矛盾を追及され、なんとか形を保っていたものを破壊されるその様は反発するに足るモノなのかも知れない。
結局大して救われない解決と共に、また日常が戻ってくる。そのあえて余韻を残さない潔さが非常に好ましいのは贔屓の引き倒しであろうか。
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