2chライトノベル板大賞 2006年上半期 総評
2006年7月24日 読書まずは上位20位の結果をコピーする。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152198375/618-620
これらを見ながら結果を分析して行きたい。
投票前の下馬評からしても狼と香辛料の人気は高かった。が、基本的にシリーズへの投票は分散するラ板大賞でワンツーと言うのはまさしく類を見ず、圧倒的と言えるだろう。また作者別集計から見ても判るとおり、とらドラ!の竹宮ゆゆこも善戦していて、この2シリーズは今期の鉄板と言える。
さて、他を見てみるとBBBシリーズの3巻、4巻、5巻で三期連続ベスト10を維持するあざの耕平もまた快挙と言える。尻上がりに調子を上げる作者の面目躍如と言う所か。
また、『文学少女』『夏期限定』『荒野の恋』『図書館戦争』と今までのライトノベルの本流からは少し外れた印象の作品が上位を占めているのも特徴か。『図書館戦争』は総投票数11/イチオシ投票7とイチオシ率が高く、ハードカバーで無ければ読者層と共に得票数も広げられただろう。
『銀盤』『半月』は長期シリーズモノが軒並み得票を落とす中、健闘。事実上の最終巻であった『半月』はともかく、『銀盤』はさすがの人気と言えるだろう。
個人的には学校の階段シリーズや戦う司書シリーズ、薔薇のマリアシリーズ等の得票がイマイチだったのが残念だ。
レーベル面ではどうだろう。やはりトップレーベル電撃強しである。最近元気の良い中堅三強、スーパーダッシュ・ファミ通・MF文庫Jがベスト10に一冊づつ。老舗富士見・角川が沈むと言うこの傾向には何かあるのだろうか。
このあたり面白いのは2chラ板大賞とほぼ時期を同じくして行われたはてなDiaryのライトノベル関連サイトによる『ライトノベルサイト杯』の結果との比較である。
丁度良く、Windbird::Recreationさんの所で比較を纏めてくれているので是非参考に見てみて戴きたい。
http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060723/1153594719
某スレの感想にも書いてあったが、両者の違いは投票者のフォローする作品の幅の広さにあるのかも知れない。
ライトノベルサイト杯では各サイトの管理人は、それなりに一家言ある人達であり、読んでいる作品数も半端ではなく、マイナー作品やベテランの作品、そしてラ板大賞では中小賞にフォローされる、全体的にはどうかと思うがどこか光っている作品がフォローされている。7票以下の作品等は非常にコアだ(笑、取り合えず三浦良は読ませて貰おうと思っている。
さて、翻ってラ板大賞では、投票者にそこまでのフォロワーが多いとは思えず、どうしてもメジャーレーベルである電撃文庫の作品が多くなる。
こんな所だろうか。
最後に今回の自分の投票を晒して終わりたいと思う。
以上。最後まで読んだ人はお疲れ様でした。ありがとうございます(笑
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152198375/618-620
◆大賞
01位 38票
狼と香辛料 I 』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
02位 29票
『狼と香辛料』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
03位 27票
『とらドラ!』 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
『"文学少女"と死にたがりの道化』 【著:野村美月/絵:竹山美穂/レ:ファミ通文庫】
05位 25票
『夏期限定トロピカルパフェ事件』 【著:米澤穂信/絵:片山若子/レ:創元推理文庫】
06位 21票
『銀盤カレイドスコープvol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle』 【著:海原零/絵:鈴平ひろ/レ:スーパーダッシュ文庫】
07位 19票
『BLACK BLOOD BROTHERS 5 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 風雲急告―』 【著:あざの耕平/絵:草河遊也/レ:富士見ファンタジア文庫】
08位 18票
『半分の月がのぼる空6 life goes on』 【著:橋本紡/絵:山本ケイジ/レ:電撃文庫】
09位 16票
『荒野の恋 第二部 bump of love』 【著:桜庭一樹/絵:ミギー/レ:ファミ通文庫】
『侵略する少女と嘘の庭』 【著:清水マリコ/絵:toi8/レ:MF文庫J】
11位 15票
『月の盾』 【著:岩田洋季/絵:室井麻希/レ:電撃文庫】
12位 13票
『封仙娘娘追宝録・奮闘編 (5) 最後の宝貝』 【著:ろくごまるに/絵:ひさいちよしき/レ:富士見ファンタジア文庫】
13位 12票
『レジンキャストミルク4』 【著:藤原祐/絵:椋本夏夜/レ:電撃文庫】
『灼眼のシャナ XII』 【著:高橋弥七郎/絵:いとうのいぢ/レ:電撃文庫】
15位 11票
『とらドラ2!』 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
『円環少女 (3) 煉獄の虚神 (下)』 【著:長谷敏司/絵:深遊/レ:角川スニーカー文庫】
『図書館戦争』 【著:有川浩/絵:徒花スクモ/レ:メディアワークス】
18位 10票
『カレとカノジョと召喚魔法 (6)』 【著:上月司/絵:BUNBUN/レ:電撃文庫】
『シフト II ―世界はクリアを待っている―』 【著:うえお久光/絵:----/レ:メディアワークス】
20位 9票
『9S『ナインエス』VII』 【著:葉山透/絵:山本ヤマト/レ:電撃文庫】
『ゼロの使い魔 (7) 銀の降臨祭』 【著:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/レ:MF文庫J】
『ゼロの使い魔 (8) 望郷の小夜曲』 【著:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/レ:MF文庫J】
◆イチオシ賞
第1位:21票
『狼と香辛料 II』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
第2位:9票
『"文学少女"と死にたがりの道化』 【著:野村美月/絵:竹岡美穂/レ:ファミ通文庫】
第3位:7票
『狼と香辛料』【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
『図書館戦争』 【著:有川浩/絵:徒花スクモ/レ:メディアワークス】
第5位:6票
『シフト II ―世界はクリアを待っている―』 【著:うえお久光/絵:----/レ:メディアワークス】
◆作者別集計
01位 支倉凍砂 67(2) 狼と香辛料/狼と香辛料II
02位 竹宮ゆゆこ 38(2) とらドラ!/とらドラ2!
03位 野村美月 27(1) "文学少女"と死にたがりの道化
04位 米澤穂信 26(2) 夏期限定トロピカルパフェ事件/さよなら妖精
05位 橋本紡 23(3) 半分の月がのぼる空6/7/流れ星が消えないうちに
06位 桜庭一樹 22(3) 荒野の恋 第二部/GOSICKs II/少女七竈
07位 海原零 21(1) 銀盤カレイドスコープvol.7
08位 あざの耕平 20(2) BBB5/BBB(S)2
09位 清水マリコ 19(1) 侵略する少女と嘘の庭
10位 ヤマグチノボル 19(3) ゼロの使い魔(7)/(8)/魔法薬売りのマレア
11位 高橋弥七郎 18(2) 灼眼のシャナ XII/S
12位 岩田洋季 15(1) 月の盾
13位 藤原祐 14(2) レジンキャストミルク2/4
14位 ろくごまるに 13(1) 封仙娘娘追宝録・奮闘編 (5)
14位 長谷敏司 13(2) 円環少女 (2)/(3)
14位 葉山透 13(2) 9SVII/9SSS
17位 有川浩 11(1) 図書館戦争
17位 田口仙年堂 11(3) ガーゴイル9/10/BB団2
18位 櫂末高彰 10(2) 学校の階段/2
18位 上月司 10(1) カレとカノジョと召喚魔法
18位 うえお久光 10(1) シフトII
これらを見ながら結果を分析して行きたい。
投票前の下馬評からしても狼と香辛料の人気は高かった。が、基本的にシリーズへの投票は分散するラ板大賞でワンツーと言うのはまさしく類を見ず、圧倒的と言えるだろう。また作者別集計から見ても判るとおり、とらドラ!の竹宮ゆゆこも善戦していて、この2シリーズは今期の鉄板と言える。
さて、他を見てみるとBBBシリーズの3巻、4巻、5巻で三期連続ベスト10を維持するあざの耕平もまた快挙と言える。尻上がりに調子を上げる作者の面目躍如と言う所か。
また、『文学少女』『夏期限定』『荒野の恋』『図書館戦争』と今までのライトノベルの本流からは少し外れた印象の作品が上位を占めているのも特徴か。『図書館戦争』は総投票数11/イチオシ投票7とイチオシ率が高く、ハードカバーで無ければ読者層と共に得票数も広げられただろう。
『銀盤』『半月』は長期シリーズモノが軒並み得票を落とす中、健闘。事実上の最終巻であった『半月』はともかく、『銀盤』はさすがの人気と言えるだろう。
個人的には学校の階段シリーズや戦う司書シリーズ、薔薇のマリアシリーズ等の得票がイマイチだったのが残念だ。
レーベル面ではどうだろう。やはりトップレーベル電撃強しである。最近元気の良い中堅三強、スーパーダッシュ・ファミ通・MF文庫Jがベスト10に一冊づつ。老舗富士見・角川が沈むと言うこの傾向には何かあるのだろうか。
このあたり面白いのは2chラ板大賞とほぼ時期を同じくして行われたはてなDiaryのライトノベル関連サイトによる『ライトノベルサイト杯』の結果との比較である。
丁度良く、Windbird::Recreationさんの所で比較を纏めてくれているので是非参考に見てみて戴きたい。
http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060723/1153594719
某スレの感想にも書いてあったが、両者の違いは投票者のフォローする作品の幅の広さにあるのかも知れない。
ライトノベルサイト杯では各サイトの管理人は、それなりに一家言ある人達であり、読んでいる作品数も半端ではなく、マイナー作品やベテランの作品、そしてラ板大賞では中小賞にフォローされる、全体的にはどうかと思うがどこか光っている作品がフォローされている。7票以下の作品等は非常にコアだ(笑、取り合えず三浦良は読ませて貰おうと思っている。
さて、翻ってラ板大賞では、投票者にそこまでのフォロワーが多いとは思えず、どうしてもメジャーレーベルである電撃文庫の作品が多くなる。
こんな所だろうか。
最後に今回の自分の投票を晒して終わりたいと思う。
○『狼と香辛料 II』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
とにかくこのシリーズには一本取られた。と言うか面白くて唸った。
老獪さと純真さと尻尾を併せ持つ反則的なホロの魅力に行商人ロレンスが巻き込まれる経済的謀略劇が合わさって
最後までじっくりと読める、期待通りの二作目。
そこは期待通りの言葉をかけて欲しいホロ。あくまでお人よしなロレンス。こんな二人の道中がいつまでも続きますように。
『侵略する少女と嘘の庭』 【著:清水マリコ/絵:toi8/レ:MF文庫J】
大人になっていく過程と共に微妙に揺れ動く幼馴染達との距離。そしてボーイ・ミーツ・ガール。僕は彼女と出会った。
相変わらず嘘シリーズにハズレ無し。
綺麗な流れを感じさせるストーリーラインと終わりの余韻。完成された青春ボーイ・ミーツ・ガールストーリー。
それにしてもとらドラと言い、やっぱりツンドラ系は餌付けに弱い。
『夏期限定トロピカルパフェ事件』 【著:米澤穂信/絵:片山若子/レ:創元推理文庫】
『犬はどこだ』からこっち米澤穂信はかなりダークでビターだ。タイトルと装丁の甘さからは計り知れない作中を通した一本の糸、そして驚愕のラスト。
青春小説としてもミステリとしても群を抜いている。
次巻は『秋期限定モンブラン事件』と名前だけは決まっているようだが、小佐内さんと小鳩君の二人の関係の転機となるのは確実。
もはやミステリ作家として大成した感があるが、いつまでも応援してます。
『とらドラ2!』 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
なにげに馴れ合いを続ける事になった竜児と大河の前に新キャラの登場なワケですが、この新キャラも中々良い性格。陰湿イジメ展開にでもなるのかと思いましたが、そうは大河がおろさない。
相変わらずのマイペースキャラ達が所狭しと躍動する様はまさに圧巻。特に今回はみのりんが輝いている!みのりん・大河のダブルアタックには爆笑。みのりん、イイヨ、みのりん。
巻末の「幸福の手乗りタイガー伝説」もちょっと良い話で楽しめます。留まる所を知らない竹宮パワー健在。
『学校の階段2』 【著:櫂末高彰/絵:甘福あまね/レ:ファミ通文庫】
とかく何せレースが熱い。階段を駆け上り、飛び降り、廊下を疾走する。そんなタヴーを敢えて犯して走り続ける階段部。
その姿に何故か郷愁と奇妙な共感を覚えてしまった。もうそうなるとぐぐっと話に引き込まれるワケである。
2ではクセモノの生徒会長も出てきて、よりドラマは複雑に。展開は王道だがぐいぐい読ませてくれる。
読後も爽快でびっと自分の波長に合った「楽しい」ライトノベル。
次点は
『スイートホームスイート1 世界で一番いらない遺産』 【著:佐々原史緒/絵:カヅキレン/レ:ファミ通文庫】
佐々原史緒は相変わらず鉄板。解り易くさりとて安直にならないバランスの取れた作品が持ち味を出している。
『戦う司書と黒蟻の迷宮』 【著:山形石雄/絵:前嶋重機/レ:スーパーダッシュ文庫】
本当にこのシリーズは面白い。なにが面白いってバトルが、カラクリが、そしてメインキャラクターが。
読み終わって冷静に考えてみると何と言うことは無い仕掛けの作品のように思えるのだが読んでるうちは止まらない。イイ。イカしてる。
『走って帰ろう!』 【著:加藤聡/絵:緋呂河とも/レ:ファミ通文庫】
学校の階段と似た感じのする、エンターテイメントとして一気に読ませてくれる期待の新人の良作。
『荒野の恋 第二部 bump of love』 【著:桜庭一樹/絵:ミギー/レ:ファミ通文庫】
少女小説と言うか純文学と言うか。あまりにもライトノベルとは言えない作品に思えるので大賞からは外した。
接触恐怖症の少女が少しずつ異性を感じ始め、体得していく、一歩一歩。瑞々しい筆致と描写が折りなす桜庭ワールド。
以上。最後まで読んだ人はお疲れ様でした。ありがとうございます(笑
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