閉鎖騒動で慌しい中ですが、

2chライトノベル板大賞2006年下半期開催です。
http://book4.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1168528573/

期間は
07/01/13 00:00:00 〜 07/01/27 23:59:59 まで。

今期はシリーズ物の続刊しか殆ど読めていませんし、レビューも書いていないので逆に新人系、新シリーズのお奨め作品がどれだけ発掘されるのかが楽しみです。

予想としてはガチに
シリーズ完結の銀盤カレードスコープ。そして狼と香辛料、文学少女のそれぞれの続刊、続くのがとらドラとこれも完結の空鐘あたりで。米澤穂信の10位入賞があるのかどうかも注目です。

ちなみにこれまでの受賞作リスト
http://onigiri.s3.xrea.com/laten/index.php?%A5%E9%A5%A4%A5%C8%A5%CE%A5%D9%A5%EB%C2%E7%BE%DE%A5%EA%A5%B9%A5%C8

ふるってご参加の程を。
ISBN:4757730845 著:野村美月 イラスト:竹岡美穂 ファミ通文庫 ¥630 12/25
過去に縛られ立ちすくむ魂に、"文学少女"が語る“真の物語”とは――。
「ああっ、この本ページが足りないわ!」ある日遠子が図書館から借りてきた本は、切り裂かれ、ページが欠けていた――。物語を“食べちゃうくらい”深く愛する"文学少女"が、これに黙っているわけもない。「食べ物への冒涜だわ!」と憤る遠子に巻き込まれた挙句、何故か文化祭で劇までやるハメになる心葉と級友の芥川だったが……。
垣間見てしまったクラスメイトの心の闇。追いつめられ募る狂気。過去のあやまちに縛られたまま、身動きできず苦しむ心を、"文学少女"は解き放てるのか――?ビター&スイート学園ミステリー、大好評シリーズ第3弾!!
シリーズ三作目だが相変わらず、クライマックスでは思わず目尻に涙が浮かぶ良さがある。
今回題材にされている作品は武者小路実篤の『友情』。ただ読んだ事など無くとも問題は無いし、むしろ読了後はそちらにも手を出して読みたくなってくるだろう。
内容的にもシリアスな部分とそれを補う明るい部分のバランスが良く、重いテーマを扱いながら読み手に決してそれを不快に思わせない優しさがある。独特の表現で語られる遠子先輩の文学談義も楽しいし、ヒロイン分はななせのツンツンっぷりでしっかり補強されている。
ラストの心葉と芥川の「友情」の行方と、伏線も見事。
手放しで誉めるしかないクオリティには脱帽だ。
下半期の某板ライトノベル大賞に滑り込みで間に合った、今年最後の良作に乾杯。

ジョン平とぼくと

2006年12月22日 読書
ISBN:4797337117 8 著:大西科学 絵:銀 ソフトバンクGA文庫 ¥630 2006/09/15
そこは魔法が日常的に存在する世界。魔法の苦手な高校生・北見重は、大した能力もなさそうな彼の使い魔・ジョン平とともに、なんとか日々をやりすごしている。目下の悩みのタネは、3週間後に予定されている魔法実技の試験である。
 そんなある日、重の通う高校に、新任の物理化学教師がやってくる。普段使われていない化学室の個人利用を許され、ひとり化学実験などにいそしんでいる重にとっては、自分の大切な居場所がなくなるかどうかの一大事。しかし実際には、それはもっと大きな出来事の序曲にすぎなかったのだった。
 架空科学系テキストサイト「大西科学」が贈る、ハートウォーミング・ファンタジー。巻末には小川一水氏による解説を収録
小川一水氏が解説を書いている事に釣られて購入してみたのだが、すっかりお気に入りとなった作品。
魔法が日常的に存在すると言う世界を、実に日常的に描くと言うのは実は中々難しい。
魔法の呪文を日常的な言語の羅列として描く事はそれ程の事ではないが、本作に置いて重要なのはやはり「使い魔」との共生。
魔法を覚えると共に使い魔を得、魔法が上達すると共に使い魔の馴致や能力もはっきりとしていく。
と言う事で魔法的にはおちこぼれな主人公重の使い魔ジョン平も会話は片言。使い魔としてはどうにもぬるい存在だが、なんとも間の抜けたその名前と共に重と良いコンビとなっている。
亡くなった父親と死別した使い魔エンダーとの確執。おちこぼれの自分を気にかけてくれる良く出来る幼馴染の存在。
そしてこの世界ではあまり認められていない科学への興味。そして謎の新任の先生。そして起きる事件。
日常の良く出来たぬるさと事件、そして伏線のスパイス。
何処と無く奥を感じさせながら全体としては心地良く文章を読ませるバランスの良さがこの本にはあるように思う。
既に二巻が12/15に発売済。こちらも良作で、今期の新シリーズとしてはお気に入りの一作となっている。
GA文庫と言う新興勢力から出た、なんとも地味でぬるい小説。
ISBN:4840235899 文庫 渡瀬 草一郎 メディアワークス ¥725
渡瀬草一郎が紡ぐ壮麗なSFファンタジー。シリーズ堂々完結!
 ラトロアの議員達との会談に臨んだフェリオとウルク。元首・ジェラルドとの論戦は、他の議員達を巻き込んで白熱し、やがてラトロアの暗部を暴き出すに至る。
 しかし紛糾する議論の裏側では、その時、メビウス達の手によって、一つの異変が起こされつつあった。 突如、首都ラボラトリに現れた漆黒の空間──死の神霊(アービタ・スピリット)を奉る六番目の神殿、“終末の黒い神殿”。古の書に記されたその忌まわしき存在は、この星の命運をかけた最後の戦いへと、フェリオ達をいざなう──! シリーズ最大のボリュームで贈る最終巻!!
【電撃文庫公式HP】http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/index.php
綺麗に纏まり過ぎてそれはそれでどうなんだと言う感じなのですが、まさに王道の大河ドラマが見事な完結。
盛り上がるだけ盛り上がりましたし、最後はそれぞれが収まる所に収まって、まあなんと言いますか大団円。
文句の付け所が無いのが小憎らしいくらいにきっちり纏めて来ました。さすがと言うべきでしょうか。強いて言えば纏まりすぎて意外性や面白味が足りないよ!修羅場は!?
でもラストシーンではさすがにじーんと来ましたよ。
本当に長かったようであっと言う間だったなぁ空鐘。
クセの無いさらっとした感じの爽やかな大作でした。
ISBN:4061825089 新書 京極 夏彦 講談社 ¥1,680
連続する毒殺事件にあの男は……?
「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「――自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」
昭和28年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱(こまね)く中、ついにあの男が登場する!「邪(よこしま)なことをすると――死ぬよ」
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1824384&;x=B
舞台が平塚大磯なのは良いんですが殆ど具体的な描写が出てこないので態々大磯にする必要があったのかな、とか思いながら。

作品自体については随分地味にミステリしてたのではないかな。と思います。なにしろ長いので一気に読めず、また何時もながら登場人物の構成が複雑なので、途中で人物相関図とか纏めながら読んでました。
とかく今回は普通、と言う印象があります。
シリーズの主要メンバーのうち、今回の主役が青木と益田と言うのですからまあ地味にも普通にもなりましょうか(笑
榎木津も木場も登場はするものの暴れないですしね。京極堂も出番が少ないので薀蓄も少なめ。

でも警察内部の話は中々興味深く読めました。山下も随分成長しちゃってて頼もしいですし。

最後の京極堂の憑き物落しも今回は経緯の説明に努めるだけで地味。

初めから終わりまで地味な展開でしたがラストは中々良かった。シリーズファンからすると物足りないのかも知れませんがミステリとして見ればそこそこ良かったのではないですかね。まあ満点とは言いませんが。
ISBN:4086008238 文庫 今野 緒雪 集英社 2006/10 ¥440
バレンタインを間近に控えて瞳子は…!?
生徒会役員選挙が終わったリリアン女学園。瞳子が立候補した理由を、祐巳と乃梨子は考えていた。一方、スキーから帰ってきた柏木は、祥子と話をする。柏木は、祐巳と祥子のことを気にしていたが…。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=4-08-600823-8
久しぶりの更新・・・。色々読んではいるのだが。で、マリみての最新刊です。
ひっぱりにひっぱる瞳子・裕巳のスール問題ですが今回では瞳子の過去も含めて漸くそれらしい展開が。いよいよ次巻あたりで決着が付きそうですが、今度は直ぐに卒業式なんですよね。
シリーズが続くのかどうかも含めてさてさて。
ISBN:4840235619 文庫 高野 和 メディアワークス 2006/09 ¥620
ただ、知らないことを知りたいと思った──。
 七人の宮姫が立つ世界、東和の地。対立していた三宮常磐姫と会談し、その和解を人々に示した空澄姫。空姫とも呼ばれる彼女は、市井の少女カラスミとして、ツヅミの街に立っていた。そこはかつて、琥珀色の姫を掲げていた水の都。人々を見上げ、出会い、すれ違い、そして再会し、少女は歩き続ける。そしてやがて、探していた光景を見つけ出す……。
 少女カラスミが見つめる世界。心に触れる新感覚ストーリー第4弾、七姫物語第四章「夏草話」開幕。
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/sinkan.php#9
久しぶりの七姫物語。今回は外交戦がメインだったので少し物足りない印象に。ついつい何も考えず前に進めば良かった頃が懐かしいなどと思ったりするような複雑な展開。こう言う話も自分的には好きなのだけれどキャラが地味な分、展開が地味だと全てが地味に(笑
それにしても次巻もどういう展開になるやら。先の見通せない展開に期待です。

とらドラ3! ◎

2006年9月11日 読書
ISBN:4840235511 文庫 竹宮 ゆゆこ メディアワークス 2006/09 ¥536
ついに激突!?
手乗りタイガーVS外面(そとづら)美少女!
 まさに抱き合わんとしている(ように見える)ところを大河に目撃されてしまった竜児と亜美。みなが固唾を飲んで見守るなか、はたして手乗りタイガーの反撃は……?
 そして季節は6月、プール開きの季節。実乃梨の水着! 亜美の水着! そして大河の水着! と浮かれる間もなく、竜児の身柄をめぐり大河と亜美がなぜか水泳で勝負をすることに。実は泳げない大河は竜児と特訓を開始するが──。 
 イベント満載のプールシーンに要注目! 思わず噴き出す人前では読めない超弩級ラブコメ第3弾の登場です。
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/sinkan.php#3
テーマは乳。のとらドラ第三巻。
まあもう読んでとしか言い様が無いんですが、良いよねー。ラブコメ、と言うかライトノベルの王道だよね。読んでてむしろほっとする程ラブコメでライトノベルだよね。でもこんな面白いラブコメでライトノベルはそうそう読めないぜ、昨今。

このパワーは源はいったいなんなのか。タラコスパなのか。それはちょっとイヤだな。
ISBN:4757729154 文庫 著:野村美月 イラスト:竹岡美穂 エンターブレイン/ファミ通文庫 2006/08/30 ¥630
すべての物語を愛する“文学少女”が解き明かすのは、甘く苦い“真実の物語”。
 文芸部部長・天野遠子。物語を“食べちゃうくらい”愛しているこの自称“文学少女”に、後輩の井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。
  そんなある日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。文芸部への挑戦だわ! と、心葉を巻き込み調査をはじめる遠子だが、見つけた犯人は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で――!?コメディ風味のビター&スイートな学園ミステリー、第2弾!
2006年上半期に於いて人気を博した「文学少女と死にたがりの道化」は太宰の人間失格をモチーフに多感な高校時代を過去の痛みを引きずって過ごす少年少女達の悲しくも温かい事件を描く上質のミステリでした。物語を食べると言う文学少女、天野遠子の特異性が決してメインにはならず、全体を包む心地よいスパイスとして用いられているのも好感でした。なにより遠子先輩は可愛い(笑

そして第二弾。出来としては上々と言えるでしょう。今回のモチーフはネタばれになるので控えますが英文学の古典。
道化〜以上にモチーフとなる小説に寄りかかり気味なのは気になる所ですが解決編、そして麻貴先輩の立ち位置とラストが素晴らしい。事件の結末はかならずしも幸せなものではありませんでしたが、それをも包み込むような優しいラストシーンはこの作品の一つの持ち味となりつつあるのでしょう。
一巻目には及ばないと見る向きもありますが、自分的には十分に劣らない作品だったと思います。
ISBN:408630306X 文庫 山形 石雄 集英社 2006/07 ¥600
伝説、降臨。
武装司書のミレポックは、神溺教団との戦いの中で、「ラスコール」なる人物がカギを握っていると確信し、独自の調査に乗り出す。しかし、その人物を追うものには死が待っているという。さらに剣使いの少女、アルメが現れ、彼女もラスコールを追っていることがわかり…「戦う司書」シリーズ、第4作!
http://dash.shueisha.co.jp/whatnew/-bakudan/index.html
個人的に大好きな「戦う司書」シリーズももう四冊目。コンスタントに出るのが嬉しい。
帯は『「石雄よ。オレが君の味方だ!」荒木飛呂彦、この才能を応援!』
成る程、確かに雰囲気と言い、特殊能力者のバトルと言い、ジョジョ的なモノを感じます。でも自分的には小説としての構造はブギーポップシリーズに似ているのかなと思ってます。
荒廃と退廃の香りの漂う世界の中でのミステリー&バトル。シリーズ全編を包む独特の雰囲気を持っていると言うのもブギーに通じるものがあるように思うのですが。
今回はライトノベル界一萌えない巨乳(嘘)ハミュッツ代行はちょい役で武装司書の中でも後方担当のミレポックが主役に大抜擢。おまけにマットアラストが全編で渋さを発揮してハードボイルドっぽい雰囲気も漂います。謎の人物「ラスコール・オセロ」を辿る緊張感。これまでのシリーズを通じて根底にある神溺教団の謎。そして武装司書の存在理由。様々な謎が少しづつ顔を出して来ており、シリーズとしてもますます目が離せなくなってきています。
前嶋氏のイラストもこのシリーズの雰囲気に合っていて、巻初の折込イラストも素晴らしい出来。
自分もこの才能を応援してます!(笑
頑張ってください。
ISBN:408630290X 文庫 片山 憲太郎 集英社 2006/07 ¥660
全てを切り裂く《斬島》の刃に立ち向かう!
商売敵の悪宇商会からスカウトされた真九郎。まだまだ半人前の自分を磨くチャンスと思い契約を考えるが、最初の依頼を聞いて破談にする。依頼内容が少女殺害だったからだ。真九郎は少女を守ろうと考えるが、悪宇商会の殺し屋・斬島切彦《ギロチン》が待ち構えていた。
http://dash.shueisha.co.jp/whatnew/-kurenai/index.html
幼馴染に御姉様に幼女。萌え要素はたっぷりで、日常編はいつもながら楽しい。それはそれで良いのではあるが途中の主人公の無駄に鬱々病はどうにかならないか。
まあこの作者の作品はそこも売りと言えなくも無いが、何か無駄にぐるぐるしている感があって今回に関してはどうにも不快であった。絶望して慰められてのパターンも繰り返されると呆れてくる。
周囲のヒロインキャラ達がとても良いのにこうも主人公がダメダメだと惜しいなぁと思ってしまう。ダディフェイスを見習って欲しいものだ(笑
まあ今回は諦めて今後に期待か。
ISBN:4757728301 文庫 著:佐々原史緒 イラスト:カヅキレン エンターブレイン 2006/06/30 ¥609
ありえない展開から始まった、「人外だらけのお城生活 IN ヨーロッパ」にもようやく慣れてきた一彦に、またも襲いかかるありえない試練! 「おまえにダンスを習得してもらう。二週間で」燕尾服? 社交界デビュー? ウィンナ・ワルツ? 一歳上の曾祖母、アデルのぶっとんだ企みから、一彦はその身を守ることができるのか? 金髪ドリルの美少女吸血鬼・リリアナも登場して、ますます波瀾万丈のファンタジック・ホームコメディ第二巻、華麗に登場!
http://www.enterbrain.co.jp/fb/kikan/075/03/index.html
コンスタントにクオリティの高いシリーズを続々と繰り出している佐々原史緒さん。
作者HP
http://unapara.net/sasahara2005/s-index.htm

しかしイマイチメジャーになれないのは何故なのだろうか。
確かに突き抜けた面白さと言うのは無いけれど、出すシリーズ出すシリーズ、ハズレはないと思うんだけどなぁ。
まあぼやきはともかく、前巻がフリューゲルト家の大雑把な説明ととすると今回はフリューゲルト家の面々の過去が少しずつ明らかにされる巻。先代当主のエピソードと共に、最強の後妻アデルと吸血鬼イリーナの不仲の原因も明らかにされます。
そしてラストであー、言っちゃったよなオチ。果てさてこの後どうなるか。次巻でなんとなく最終回っぽい気もしないでもないですが、さてどうなる事やら。次も楽しみです。
ISBN:4812427762 文庫 山本 ヤマト 竹書房 2006/07/20 ¥650
隣国ザムリアからの侵攻と、街を守護する魔術師の裏切り――。かつて、二つの災厄に見舞われた王都ラスラトア。そこに生まれ、複雑に絡まった因果の糸。半年前からレヴァンの周辺に起きた事件は、すべてが予兆にすぎなかった。今、15年の歳月をへて再びラスラトアは邪悪な意志に覆われる。ザムリア帝国へと潜入したリーズフレアの見たモノとは?サディアの夢が物語る衝撃の真実とは?そしてレヴァンの持つ刀“エイスリート”の真の役目とは?仲間たちの力が一つに束ねられるとき、よろず屋レヴァンは暗黒を切り裂く希望の閃光となれるのか!?大人気本格探偵ファンタジー、涙と感動のファイナルステージ!
http://www.takeshobo.co.jp/html/shousai/shou_t.asp?denpyo=6111007
3巻完結のよろず屋ファンタジー。
なんとなくソードワールド小説を連想させるTRPG系の正統派ファンタジーだが、場合によっては古臭いと感じる人も居るかもしれない。自分は元々TRPG系の出身なのでこの雰囲気がかなり気に入ってはいるのだが。
ストーリーもキャラクターも徹頭徹尾どっかで見たような感じは否めないが、きっちりとエンターテイメントしているし、キャラクターもクセがなくてとても読みやすいし親しみやすい。
自分的にはWヒロインの一人(だと思っている)人狼のワイルド系ヒロイン、リーズフレアがスイートスポットに嵌っているので大いに活躍してくれる3巻は大満足。
まあガキ(サディア)はほっといて幸せになって欲しいものだが、意外とカルヴィンとのカップルになっても良いのかね、と思わせる前半がまた楽しい。
気楽に読めるファンタジーモノとしては上出来だと思う。名作とは言わないが十分に佳作。結構このシリーズこそまいじゃーに丁度良い位置に居るのではないかと思う。
個人的にはとてもお奨め。
上半期のライトノベル界を席巻した狼と香辛料シリーズの作者、支倉凍砂さんのblogが7月末から公開されているそうで。
http://ameblo.jp/hasekura2/

ROユーザーなんかい(笑
まずは上位20位の結果をコピーする。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152198375/618-620
◆大賞
01位 38票
狼と香辛料 I 』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
02位 29票
『狼と香辛料』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
03位 27票
『とらドラ!』 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
『"文学少女"と死にたがりの道化』 【著:野村美月/絵:竹山美穂/レ:ファミ通文庫】
05位 25票
『夏期限定トロピカルパフェ事件』 【著:米澤穂信/絵:片山若子/レ:創元推理文庫】
06位 21票
『銀盤カレイドスコープvol.7 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle』 【著:海原零/絵:鈴平ひろ/レ:スーパーダッシュ文庫】
07位 19票
『BLACK BLOOD BROTHERS 5 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 風雲急告―』 【著:あざの耕平/絵:草河遊也/レ:富士見ファンタジア文庫】
08位 18票
『半分の月がのぼる空6 life goes on』 【著:橋本紡/絵:山本ケイジ/レ:電撃文庫】
09位 16票
『荒野の恋 第二部 bump of love』 【著:桜庭一樹/絵:ミギー/レ:ファミ通文庫】
『侵略する少女と嘘の庭』 【著:清水マリコ/絵:toi8/レ:MF文庫J】
11位 15票
『月の盾』 【著:岩田洋季/絵:室井麻希/レ:電撃文庫】
12位 13票
『封仙娘娘追宝録・奮闘編 (5) 最後の宝貝』 【著:ろくごまるに/絵:ひさいちよしき/レ:富士見ファンタジア文庫】
13位 12票
『レジンキャストミルク4』 【著:藤原祐/絵:椋本夏夜/レ:電撃文庫】
『灼眼のシャナ XII』 【著:高橋弥七郎/絵:いとうのいぢ/レ:電撃文庫】
15位 11票
『とらドラ2!』 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
『円環少女 (3) 煉獄の虚神 (下)』 【著:長谷敏司/絵:深遊/レ:角川スニーカー文庫】
『図書館戦争』 【著:有川浩/絵:徒花スクモ/レ:メディアワークス】
18位 10票
『カレとカノジョと召喚魔法 (6)』 【著:上月司/絵:BUNBUN/レ:電撃文庫】
『シフト II ―世界はクリアを待っている―』 【著:うえお久光/絵:----/レ:メディアワークス】
20位 9票
『9S『ナインエス』VII』 【著:葉山透/絵:山本ヤマト/レ:電撃文庫】
『ゼロの使い魔 (7) 銀の降臨祭』 【著:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/レ:MF文庫J】
『ゼロの使い魔 (8) 望郷の小夜曲』 【著:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/レ:MF文庫J】

◆イチオシ賞
第1位:21票
『狼と香辛料 II』 【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
第2位:9票
『"文学少女"と死にたがりの道化』 【著:野村美月/絵:竹岡美穂/レ:ファミ通文庫】
第3位:7票
『狼と香辛料』【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
『図書館戦争』 【著:有川浩/絵:徒花スクモ/レ:メディアワークス】
第5位:6票
『シフト II ―世界はクリアを待っている―』 【著:うえお久光/絵:----/レ:メディアワークス】

◆作者別集計
01位 支倉凍砂      67(2) 狼と香辛料/狼と香辛料II
02位 竹宮ゆゆこ     38(2) とらドラ!/とらドラ2!
03位 野村美月      27(1) "文学少女"と死にたがりの道化
04位 米澤穂信      26(2) 夏期限定トロピカルパフェ事件/さよなら妖精
05位 橋本紡        23(3) 半分の月がのぼる空6/7/流れ星が消えないうちに
06位 桜庭一樹      22(3) 荒野の恋 第二部/GOSICKs II/少女七竈
07位 海原零        21(1) 銀盤カレイドスコープvol.7
08位 あざの耕平     20(2) BBB5/BBB(S)2
09位 清水マリコ     19(1) 侵略する少女と嘘の庭
10位 ヤマグチノボル  19(3) ゼロの使い魔(7)/(8)/魔法薬売りのマレア
11位 高橋弥七郎     18(2) 灼眼のシャナ XII/S
12位 岩田洋季     15(1) 月の盾
13位 藤原祐       14(2) レジンキャストミルク2/4
14位 ろくごまるに   13(1) 封仙娘娘追宝録・奮闘編 (5)
14位 長谷敏司      13(2) 円環少女 (2)/(3)
14位 葉山透        13(2) 9SVII/9SSS
17位 有川浩        11(1) 図書館戦争
17位 田口仙年堂     11(3) ガーゴイル9/10/BB団2
18位 櫂末高彰      10(2) 学校の階段/2
18位 上月司       10(1) カレとカノジョと召喚魔法
18位 うえお久光     10(1) シフトII

これらを見ながら結果を分析して行きたい。

投票前の下馬評からしても狼と香辛料の人気は高かった。が、基本的にシリーズへの投票は分散するラ板大賞でワンツーと言うのはまさしく類を見ず、圧倒的と言えるだろう。また作者別集計から見ても判るとおり、とらドラ!の竹宮ゆゆこも善戦していて、この2シリーズは今期の鉄板と言える。
さて、他を見てみるとBBBシリーズの3巻、4巻、5巻で三期連続ベスト10を維持するあざの耕平もまた快挙と言える。尻上がりに調子を上げる作者の面目躍如と言う所か。
また、『文学少女』『夏期限定』『荒野の恋』『図書館戦争』と今までのライトノベルの本流からは少し外れた印象の作品が上位を占めているのも特徴か。『図書館戦争』は総投票数11/イチオシ投票7とイチオシ率が高く、ハードカバーで無ければ読者層と共に得票数も広げられただろう。
『銀盤』『半月』は長期シリーズモノが軒並み得票を落とす中、健闘。事実上の最終巻であった『半月』はともかく、『銀盤』はさすがの人気と言えるだろう。

個人的には学校の階段シリーズや戦う司書シリーズ、薔薇のマリアシリーズ等の得票がイマイチだったのが残念だ。

レーベル面ではどうだろう。やはりトップレーベル電撃強しである。最近元気の良い中堅三強、スーパーダッシュ・ファミ通・MF文庫Jがベスト10に一冊づつ。老舗富士見・角川が沈むと言うこの傾向には何かあるのだろうか。
このあたり面白いのは2chラ板大賞とほぼ時期を同じくして行われたはてなDiaryのライトノベル関連サイトによる『ライトノベルサイト杯』の結果との比較である。
丁度良く、Windbird::Recreationさんの所で比較を纏めてくれているので是非参考に見てみて戴きたい。
http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060723/1153594719

某スレの感想にも書いてあったが、両者の違いは投票者のフォローする作品の幅の広さにあるのかも知れない。
ライトノベルサイト杯では各サイトの管理人は、それなりに一家言ある人達であり、読んでいる作品数も半端ではなく、マイナー作品やベテランの作品、そしてラ板大賞では中小賞にフォローされる、全体的にはどうかと思うがどこか光っている作品がフォローされている。7票以下の作品等は非常にコアだ(笑、取り合えず三浦良は読ませて貰おうと思っている。
さて、翻ってラ板大賞では、投票者にそこまでのフォロワーが多いとは思えず、どうしてもメジャーレーベルである電撃文庫の作品が多くなる。
こんな所だろうか。

最後に今回の自分の投票を晒して終わりたいと思う。
○『狼と香辛料 II』  【著:支倉凍砂/絵:文倉十/レ:電撃文庫】
とにかくこのシリーズには一本取られた。と言うか面白くて唸った。
老獪さと純真さと尻尾を併せ持つ反則的なホロの魅力に行商人ロレンスが巻き込まれる経済的謀略劇が合わさって
最後までじっくりと読める、期待通りの二作目。
そこは期待通りの言葉をかけて欲しいホロ。あくまでお人よしなロレンス。こんな二人の道中がいつまでも続きますように。

『侵略する少女と嘘の庭』  【著:清水マリコ/絵:toi8/レ:MF文庫J】
大人になっていく過程と共に微妙に揺れ動く幼馴染達との距離。そしてボーイ・ミーツ・ガール。僕は彼女と出会った。
相変わらず嘘シリーズにハズレ無し。
綺麗な流れを感じさせるストーリーラインと終わりの余韻。完成された青春ボーイ・ミーツ・ガールストーリー。
それにしてもとらドラと言い、やっぱりツンドラ系は餌付けに弱い。

『夏期限定トロピカルパフェ事件』  【著:米澤穂信/絵:片山若子/レ:創元推理文庫】
『犬はどこだ』からこっち米澤穂信はかなりダークでビターだ。タイトルと装丁の甘さからは計り知れない作中を通した一本の糸、そして驚愕のラスト。
青春小説としてもミステリとしても群を抜いている。
次巻は『秋期限定モンブラン事件』と名前だけは決まっているようだが、小佐内さんと小鳩君の二人の関係の転機となるのは確実。
もはやミステリ作家として大成した感があるが、いつまでも応援してます。

『とらドラ2!』  【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
なにげに馴れ合いを続ける事になった竜児と大河の前に新キャラの登場なワケですが、この新キャラも中々良い性格。陰湿イジメ展開にでもなるのかと思いましたが、そうは大河がおろさない。
相変わらずのマイペースキャラ達が所狭しと躍動する様はまさに圧巻。特に今回はみのりんが輝いている!みのりん・大河のダブルアタックには爆笑。みのりん、イイヨ、みのりん。
巻末の「幸福の手乗りタイガー伝説」もちょっと良い話で楽しめます。留まる所を知らない竹宮パワー健在。

『学校の階段2』  【著:櫂末高彰/絵:甘福あまね/レ:ファミ通文庫】
とかく何せレースが熱い。階段を駆け上り、飛び降り、廊下を疾走する。そんなタヴーを敢えて犯して走り続ける階段部。
その姿に何故か郷愁と奇妙な共感を覚えてしまった。もうそうなるとぐぐっと話に引き込まれるワケである。
2ではクセモノの生徒会長も出てきて、よりドラマは複雑に。展開は王道だがぐいぐい読ませてくれる。
読後も爽快でびっと自分の波長に合った「楽しい」ライトノベル。

次点は
『スイートホームスイート1 世界で一番いらない遺産』  【著:佐々原史緒/絵:カヅキレン/レ:ファミ通文庫】
佐々原史緒は相変わらず鉄板。解り易くさりとて安直にならないバランスの取れた作品が持ち味を出している。

『戦う司書と黒蟻の迷宮』  【著:山形石雄/絵:前嶋重機/レ:スーパーダッシュ文庫】
本当にこのシリーズは面白い。なにが面白いってバトルが、カラクリが、そしてメインキャラクターが。
読み終わって冷静に考えてみると何と言うことは無い仕掛けの作品のように思えるのだが読んでるうちは止まらない。イイ。イカしてる。

『走って帰ろう!』  【著:加藤聡/絵:緋呂河とも/レ:ファミ通文庫】
学校の階段と似た感じのする、エンターテイメントとして一気に読ませてくれる期待の新人の良作。

『荒野の恋 第二部 bump of love』  【著:桜庭一樹/絵:ミギー/レ:ファミ通文庫】
少女小説と言うか純文学と言うか。あまりにもライトノベルとは言えない作品に思えるので大賞からは外した。
接触恐怖症の少女が少しずつ異性を感じ始め、体得していく、一歩一歩。瑞々しい筆致と描写が折りなす桜庭ワールド。

以上。最後まで読んだ人はお疲れ様でした。ありがとうございます(笑
2chライトノベル板大賞 2006年上半期は7/23 0:00を持って投票が締め切られ、即日集計の結果、支倉凍砂 狼と香辛料?,?が大賞始まって以来のワンツーフィニッシュを決め、圧倒的な強さを見せ付けた。併設されたイチオシ賞、キャラ賞、カップル賞も総嘗めにしており、電撃文庫の大型新人が快挙を成し遂げた事になる。
[投票内容、結果分析等は今後]

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152198375/

ライトノベル大賞リスト
http://onigiri.s3.xrea.com:8080/laten/index.php?%5B%5B%A5%E9%A5%A4%A5%C8%A5%CE%A5%D9%A5%EB%C2%E7%BE%DE%A5%EA%A5%B9%A5%C8%5D%5D
ISBN:4044708053 文庫 水口 敬文 角川書店 2006/06/30 ¥600
二人だから、戦える。
「偽りの魔術」を操る姉妹が求めるのは―真実の絆
失われた強大な力―魔法。だが、その力は形を変え「偽りの魔術」として現代にも受け継がれていた。高校生の綾白未玖とその過保護な姉でもある夏咲も“力”を使うことができる「魔女」の姉妹。しかし魔女を守るはずの組織「連盟」が二人を襲い始めたとき、未玖から魔術起動の象徴・八重桜が大量に舞い始める!そこには未玖の持つ「偽りの魔術」を根底から覆す秘密があった!強く優しき魔女たちによる運命のマズルカが今、始まる!
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200603000361
「燐」シリーズの水口敬文の最新シリーズは学園コミカルマジックファンタジー?
なにやら明るくコミカルな出だしに「燐」シリーズを知る自分としては違和感があったのだけれど、途中から連盟や陰の存在である堂本兄弟など、持ち味のダークな感じが仄見える。
主人公姉妹と堂本兄弟が上手く対比されていて、姉妹の絆を核にしたストーリーはテンポも良く上々の出来。
ただ一点何か突き抜けた所がないのが少し気になるのだけれど上手く纏まった良作と言う所だろう。
シリーズの出だしとしては十分。続刊も期待出来るだろう。
そんな訳で7/8から開催されてます。
期限は7/23の0時まで。
半期に一回のお祭りですので振るってご参加の程を。

2chライトノベル大賞 2006上半期
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152198375/
ISBN:4043611137 文庫 宮部 みゆき 角川書店 2006/05/23 ¥740
小学五年生の亘は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」と意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界―幻界へと旅立った!
8日からの映画化に向けて漸く原作を読む機会にめぐり合えた。全体は非常に古典的なジュヴナイルファンタジー。しかし作中の1/4を費やして丁寧に描かれる亘の旅立ちの経緯は非常に宮部みゆきらしい。比してファンタジー部分はオーソドックスではあるが、信頼出来る仲間との出会い、種族差別を眼にしての、それぞれの正義の認識と疑問。そして対立軸であるミツルへの劣等感と克服。強く、自分として生きる道を選ぶ亘の成長は、素直な感動を呼ぶ。
そしてエンディング。シンプルなラストが爽やかな読後感を運んでくれる。
さすがは大御所宮部みゆきと言った所で感服しきり。その宮部御大が太鼓判を押した映画版は上手くすればジブリの独占であった大作アニメ映画に新風を吹き込んでくれるのではなかろうか。
しかし製作が「あの」GONZOであると言うのが非常に心配ではある。是非とも黒歴史にならないような作品になってほしいものだ。
鶴屋さんにょろーん

http://u-u.2-d.jp/

二週間喘息の亜種で死んでましたがようやく少し回復の兆しが見えてきました。

新井輝「さよなら、いもうと」 富士見ミステリ文庫 ○
最近Roomシリーズもかなり食傷気味になってきているのですが、まあ今回も露骨ないもうと萌え表現が鼻につくものの、エンディングで上手く纏めたなと思いましたね。
つーか妹より幼馴染だと思いません?

田代裕彦「セカイのスキマ」 富士見ミステリ文庫 △
あの「平井骸惚此中ニ有リ」シリーズ完結後の第一作と言う事で期待していたのですが、どうも盛り上がりに欠ける結果に。なんでだろう。と言うか単にイラストが嫌いだったと言う噂もありますが。どうもヒロインも主人公もはっきりしゃっきりしない前半部分のせいかな。後半急にしゃっきりしだす主人公にも少し違和感が。
主人公の推理パートとラストの真相パートの二段オチは良い構成だとは思いますがね。うーん、まあ導入部と言う事で次巻からの盛り上がりに期待か。

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鴉

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