今日の日記

2004年1月27日
積読の各本を読了。

富士見ミステリ文庫
『平井骸惚此中ニ有リ』 田代裕彦 著
http://www.kadokawa.co.jp/fujimi/mystery/search.php?new=1&;pcd=200310000049

第三回富士見ヤングミステリ大賞の大賞受賞作。
時は大正十二年。推理小説と言うモノが漸く世間に少しずつ認知され始めた時代。華の帝大生でありながら憧れの探偵小説家・平井骸惚への弟子入りを目指す主人公が、密室で死んだ小説家の謎に挑みます。
トリック自体はそれ程凝ったものではありませんが、あえて講談調で書かれた文体は時代設定としっくりと合いますし、京極堂(京極夏彦のシリーズ小説の主人公)を思わせるウンチク探偵小説家・平井骸惚、そして少し頼り無い主人公の河上太一と鼻っ柱の強い骸惚の娘・涼のコンビと、キャラクターも基本をしっかり押さえていて読むに十分な佳作に仕上がっています。
大賞と言うには少しパワー不足と言う気もしますが富士見ミステリと言うレーベルとしては十分な内容ではないでしょうか。

『仮面は夜に踊る』 名島ちはや 著
http://www.kadokawa.co.jp/fujimi/mystery/search.php?new=1&;pcd=200310000051

第三回富士見ヤングミステリ大賞の佳作受賞作。
パラレルワールド的な帝都東京を舞台に名探偵如月文人と彼の元に集うJuvenileDetectivesと呼ばれる少年少女探偵団が、怪盗“夜の支配者”を相手に繰り広げる一進一退の戦い。
その末にJDに一つの別れと旅立ちが・・・。

乱歩の少年探偵団シリーズに原型を得る典型的な少年探偵団モノです。あまりにも典型的過ぎてコンパクトに纏まっているものの、その枠からはみ出る事が出来ていないのが難。
やはり佳作は無難な所と言うべきでしょうか。
むしろシリーズ物のプロローグと見るべきなのでしょうが、続刊を出すならばもう少しはっちゃけて見てほしいものです。

電撃文庫
『Little Birds Fly』 円山夢久 著
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_index.php?isbn=4-8402-2579-6

21世紀。突然に死者の残す怨念・思念がゴーストと言う存在として顕現し、様々な被害を及ぼすようになった。
そしてそのゴーストを歌や踊りを持って鎮魂する者達を人は<バード>と呼ぶようになった。
物語はバード養成学校に通う三人の学生から始まる。全てにおいて優秀だが今ひとつ自分の殻を越えられない主人公修身、有名芸能人で演技の為にバードの実地勉強をしに来た更紗、その更紗に淡い憧れを抱く睦月。
そんなある日、大規模な列車事故から強大なゴーストが発生。三人を初めとする養成学校の生徒を巻き込みながら事件は密かに拡大していく・・・。

リングテイルシリーズで豊かなファンタジー世界を築き上げ、評価を博した円山夢久ひさびさの新刊は現代モノ。主人公修身の、成長期の青年の心の葛藤を細やかに描くその手腕はリングテイルシリーズから変わっておらず、ラストは読み口爽やかなジュヴナイルとして完結しています。
さすがは円山夢久と言った所でしょう。
その書き口は女性らしく細やかで丁寧。文章もテンポ良く、いつの間にか読み終わっていたと言う感触が得られるのではないでしょうか。
リングテイルシリーズで贔屓の作家さんなので褒めすぎかも知れませんがまずは復活おめでとう、そして腕は落ちてませんね、と声をかけたくなる一作でした。

新刊購入は
『銀盤カレイドスコープ vol.3 ペア・プログラム:So shy too-too princess』 海原零 集英社SD文庫
『ARIEL20』 笹本祐一 朝日ソノラマ文庫
これは読了していますので近日中に報告を。

それとGBAで『逆転裁判3』も出てますね。
昨日ゲットしてまだやっていませんが。
シリーズ最後との事なので楽しみにしています。
鴉

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