ISBN:4812425069 文庫 山本 ヤマト 竹書房 2006/01/20 ¥600
「よろず引き受けます――レヴァン・ウェイズ」皮肉屋で愛想知らずの、昼行灯な優男レヴァンの営む「何でも屋」はトラブル解決を請け負う探偵業!ところが持ち込まれるのは浮気調査ばかり――。今日も今日とて、夫の挙動不審を訴える人妻にゲンナリのレヴァンだったが!?光と闇、火と水、風と土、木と石――8つの力のバランスは崩れ去り、ラドリア王国に禍々しい暗黒の魔手が迫る。ダークエルフや人狼の仲間たちとともに陰謀に立ち向かうレヴァンは、街を、大切なひとを護りきれるのか!?著者入魂の本格ファンタジー、開幕!http://www.takeshobo.co.jp/html/shousai/shousain.asp?denpyo=6111002
良くも悪しくもTRPGのキャンペーンシナリオのような小説。それもその筈でTRPGの企画の生き残りのようです。シナリオとしては面白いかもしれませんが小説としてはイマイチ捻りが無いような。
ヒロインキャラは好きなんだけどね。
ISBN:4840233012 文庫 来楽 零 メディアワークス 2006/02 ¥578
第12回 電撃小説大賞<金賞>受賞作
人間を喰う異形の “モノ” に遭遇した4人の男女。 彼らの生きる道は!?

ある日、塾の教室へ急いでいた矢代純は、エレベーターに閉じ込められた。
乗り合わせた3人の男女―― 十文字誠、水藤深矢、早瀬綾佳とともに助けを待っていると、天井をやぶって現れた異形のものに襲われる。
怪我もなく帰宅するが、不思議な体験をして以来、純たちの体に変化が起こり始め……。
傷つかない体、突然回復した視力、幽霊が見える目、そして、いくら食べても満たされない飢え――
戸惑う純たちの前に、モノ祓い師であるという七倉和巳が現れた。
彼は告げる。 エレベーターの中で遭遇したのは、人間を喰って生きる “モノ” であり、4人の体は今、その “モノ” と融合しているのだ、と。
圧倒的な筆力で選考委員をうならせた、ホラータッチの傑作! http://shop.mediaworks.co.jp/ds_item.php?cd=A0530560
とばっちりで人ならぬモノとなってしまった四人の、存在への葛藤の物語。
四人の立場がしっかりと提示され絡み、やがて離れていく様は、その起因の理不尽さも相まって中々身につまされるものが在ります。
綾佳の突発的行動などちょっと?な部分もありますが追い詰められた人間心理と言う事でなんとか折り合いをつけつつ。
けしてハッピーエンドにならない所は妥協を感じずにこの作品らしいとは思いますが、好みとしてはハッピーエンド派なので○と言う事で一つ。新人としてのクオリティは高いのではないでしょうか。
ISBN:475772599X 文庫 加藤 聡 エンターブレイン 2006/01 ¥609
 大好きな亜希子ちゃんにフラれた高校生の卓也を待っていたのは、夜逃げした両親の借金12億5千万円と黒スーツにグラサンのヤクザだった! 莫大な借金を返すため、卓也は競走馬のオーナーを夢見るヤクザ原田のもと、非合法自転車レースの選手となる。『倒産』『丘サーファー』『赤い彗星』奇妙なレースネームの仲間と走る全長10?の周回レース。走行妨害、落車、ドーピング……そんな中で、卓也がしかける大勝負とは!? 第7回えんため大賞「優秀賞」受賞作! 感動の青春サバイバルエンターテイメント登場!!
http://www.enterbrain.co.jp/fb/newbook/070/02/index.html
借金の為に賭けレースで走ると言うドツボなケースなのですが主人公がそれ程追い詰められていないのが幸いしてブラックな雰囲気は抑え目。むしろ純粋なレース描写が中々熱く、他のレーサー達とのエピソードも上手に挿入され(かと言ってそれ程深くは入り込まず)適度なバランスを維持しつつ一気に読ませると言う上手さを見せてくれている一冊だと思います。
評判を聞いて選んで読んでいるせいもありますが、今年の新人さんもレベルが高いですね。
イラストは少しあってないような気がします。してみると昨日の狼と香辛料はイラストが抜群でしたね。
ラストも良い感じだったと思います。自分を捨てた両親との確執など暗い部分を書こうと思えば幾らでも書けたのでしょうがあえてそこをばっさり切ったのは正解だったと思う。
エンターテイメントとして楽しめる一冊でした。銀盤みたいなスポーツモノとしても楽しめるのでは。

狼と香辛料 ◎

2006年2月15日 読書
ISBN:4840233020 文庫 支倉 凍砂 メディアワークス 2006/02 ¥620
行商人ロレンスと狼神ホロが織りなすエポック・ファンタジー!
 行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
 老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることをロレンスは了承した。
 そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが──。
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/sinkan.php#3
これは一本取られた。と言うか面白くて唸った。
行商人と言う職業的な面白さに加えて狼神ホロのキャラクターがツボに入りまくった。こうして男は手玉に取られていくのね・・・と言う初々しさと老獪さを交互に仄めかせる所が素敵過ぎる。
構成もロレンスとホロのポイントを抑えたやり取りと意外に骨太なカラクリのメインストーリーとのバランスが絶妙。
確かに目新しくはないけれどしっかりと読ませてくれるかなりの良作だと思います。これで銀賞か。
とにかくまた楽しみな新人さんが増えました。続編も是非期待してます。いや面白かった。
削除されるまで気づかなかったとは・・・orz

ラノベの杜〜新刊案内〜
http://shinkan.main.jp/

一月から移転してるし!!
ISBN:4829163410 文庫 ヤマグチノボル 富士見書房 2006/02/10 ¥630
高三の研は6年前、バイク事故で亡くなった優秀な兄・究への劣等感を未だに抱いていた。ある日、高校に兄の元カノ・京子が赴任してくる。恋心を抱く研だったが、京子もまた研に究の姿を重ねていた。恋の行方は――
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200512000094
昨今ギャルゲーのシナリオライターのライトノベル進出が多くなっていますがこの作者も代表的な1人。富士見ミステリでは『描きかけのラブレター』が中々良い作品でしたがそれよりはツンデレロリの巨頭としてアニメ化も決まった『ゼロの使い魔』シリーズの作者でもあります。
で、この遠く〜ですが非常に読みやすく典型的な青春恋愛小説です。2時間位であっさりと読めてしまいました。
6歳年上の教師で死んだ兄の元彼女との出会いと恋。うわ、ベタや。でも嫌味なくすらすらと読めてしまうところは流石。
ただ派手なインパクトも無いので気楽に楽しめるライトノベルと言えるでしょう。ちょっとした息抜きには良いかも。
ISBN:4086302756 文庫 岡崎 裕信 集英社 2005/12 ¥650
ユーキの初恋の相手は美人神格能力者!
性別を偽るユーキは、真綾の作った“男性になる薬”で男らしくなった。それに反応した玉樹がまたも黒魚で学校をパニックに陥らせる。突然現れた美人神格能力者・黒崎が事態を納めるが、ユーキは彼女に心を奪われる。この恋をきっかけに、真綾が暴走! 文字通りの命がけの恋に!
http://dash.shueisha.co.jp/-mayahuel/index.html
色々と設定はあるのですが、詰まるところはラブ&友情バイオレンスコメディ!?
勢いはあるのですが、一巻に比べて何が足りないって萌えが足りない?面白い、面白いのですが今一歩足りないのは何故。
しかし、このまま進んでいくのもどうなんでしょう。主人公の設定が微妙スギなのが原因でしょうか。
次巻の展開如何だと思うのですが今回と同じような展開で続くと少し飽きがきそうな予感。頑張って下さい。
ISBN:4086302764 文庫 前嶋 重機 集英社 2006/01/25 ¥580
『怪物』、誕生。
武装司書たちの本拠・バントーラ図書館が神溺教団を名乗る何者かの襲撃を受け、さらに先の戦闘で死んだルイモンの『本』が盗まれた。その奪還の任務を背負った見習い武装司書・ノロティ。彼女が必死の捜索を続ける中、突如ハミュッツが現れ…SD新人賞大賞受賞シリーズ、第2弾!
http://dash.shueisha.co.jp/whatnew/-bakudan/index.html
独特のダークで退廃的な世界観の中でそれぞれの存在を賭けて戦う。中々燃えるシチュエーション。そしてストーリーギミックもクセはあるものの独特でミステリの風味も加味され、個性の際立ったシリーズと言えるかと思います。
滅びのマヤウェルと共に第四回新人賞大賞の第二作として十分のクオリティを維持した続編。MF文庫Jと言い、以前までのマイナーレーベルから確実に育ってくる作品がある事は喜ばしいことです。
ISBN:4840233063 文庫 橋本 紡 メディアワークス 2006/02 ¥557
ついに退院した里香は、裕一と同じ学校に通うことになった。正真正銘のスクールライフを送る日がやってきたのだ。二人いっしょの登校、いっしょの校庭、いっしょの下校。なんでもない、ありふれた日常だけれど、長い道を歩いてようやくたどり着いたのがそこだった。そう、二人が生きていく場所は病院ではない。当たり前の場所で、当たり前の生活を送る日々が、本当に大切なこと──。
 “僕たちはこの小さな町で寄り添って生きていく”
 橋本紡&山本ケイジが贈る、大好評シリーズ第六弾、感動の本編完結! 裕一の里香の司のみゆきの夏目の、それぞれの未来は──。
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/next.php#6
幸せな日々は訪れた。それが幾ら儚くやがては潰えるモノでも。そして、【今】は緩やかに終わっていく。

読んでいる間、これが夢オチでない事を祈りました。結局は作者が後書きで語ったように本来であれば5巻で終わっていた物語の後日談。
“僕たちはこの小さな町で寄り添って生きていく”
この一言こそこのシリーズの最後を締めくくるに相応しい言葉だったのでしょう。
この巻と言うよりは静かに終わっていくこの物語に、そして主人公の2人に幸多かれと。
ISBN:475772604X 文庫 ミギー エンターブレイン 2006/01/30 ¥672
一風変わった“恋愛小説家”の父を持つ荒野。再婚した父への複雑な思いと、淡い“初恋”に終わった悠也との思い出を抱えながら、14歳になり少し大人になった荒野の“恋”に対する恐れと驚愕を描く、桜庭一樹「恋の三部作」第二弾。
http://www.enterbrain.co.jp/jp/p_catalog/book/2006/4-7577-2604-X.html
移り変わる季節と共に少女は一歩一歩大人になる−女性作者らしい青春・・・と言うより少女小説。レーベル的にはどちらかというとコバルトか、それとも昔懐かしむ純文かと言う所。父親の再婚相手との関係や、友人が『彼』と付き合い始める中で遠い悠也への思い。そして告白と拒絶。新たな生。
接触恐怖症の少女が少しずつ異性を感じ始め、体得していく、一歩一歩。瑞々しい筆致と描写が折りなす桜庭ワールド。
ついに結果が発表されました。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1137160796/310-334
即日2時間での発表はかなり早く集計人さんの苦労が偲ばれます。
ご苦労さまでした。
取り合えずBEST10だけ転載します。

大賞 39票
■ある日、爆弾がおちてきて■ 【著:古橋秀之/絵:緋賀ゆかり/レ:電撃文庫】
ライトノベル板での評価はかなり高かったので上位に来るのは予想していましたがまさか大賞になるとは。最近ヒット作は無かったとはいえ、古典とも言えるブラックロッドの時代からのコアのファンも多く、またクオリティの高さは勿論ですが、短編・ボーイミーツガール・ハッピーエンド多めと万人に受け入れやすい要素が多かったのも受賞の一因だと思われます。

第2位 30票
■円環少女 (1) バベル再臨■ 【著:長谷敏司/絵:深遊/レ:スニーカー文庫】
戦略拠点32098 楽園以来、寡作だった作者のスマッシュヒット。自分としては設定やキャラは非常に良かったものの、読みづらさで○に留めましたが、さすがライトノベル板の玄人衆にはそれ程のマイナス点ではなかったようです。これを機会に定期的に新作が出ると良いのですが・・・。

同率第3位 24票
■灼眼のシャナ X■ 【著:高橋弥七郎/絵:いとうのいぢ/レ:電撃文庫】
アニメ化もされて絶好調の灼眼のシャナが堂々のランクイン。
でも私は8巻くらいから買うの止めているのですが(笑)

同率第3位 24票
■AHEADシリーズ 終わりのクロニクル (7)■ 【著:川上稔/絵:さとやす(TENKY)/レ:電撃文庫】
世に言う『都市厨』『川上儲』の根強さを感じます。またページ数
1000を越え、ライトノベル史上最厚を記録したその装丁も話題を集めました。ちなみに私は川上作品は苦手なので読んでません。
設定先行のような作品は苦手なのです。(清涼院とか)
http://akibablog4.on.arena.ne.jp/2005-12-08-410.html

第5位 22票
■封仙娘娘追宝録 (9) 刃を砕く復讐者 (下)■ 【著:ろくごまるに/絵:ひさいちよしき/レ:富士見ファンタジア文庫】
なんと上巻が出てから実に6年。作者の最新刊から数えても3年半。まさか続編が出るとはと思われていたものが出たと言う事で。
勿論、封仙娘娘追宝録シリーズ自体も面白いのですが。

第6位 20票
■ニライカナイをさがして■ 【著:葉山透/絵:山都エンジ/レ:富士見ミステリー文庫】
もう少し上位に行くと思ったのですが残念。感想は後ほどの自分の投票にて。

第7位 18票
■ネコソギラジカル 下 青色サヴァンと戯言遣い■ 【著:西尾維新/絵:竹/講談社ノベルス】
まあ、賛否両論はっきり分かれたシリーズ最終巻ですからこの位置は順当と言えば順当でしょう。私ははっきり駄作だと思ってますがネ。

第8位 17票
■BLACK BLOOD BROTHERS 4 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 倫敦舞曲―■ 【著:あざの耕平/絵:草河遊也/レ:富士見ファンタジア文庫】
未チェックのシリーズ。ですがあざの耕平はある意味鉄板ですので後で纏めて買える機会を探しましょう。

同率第9位 13票
■半分の月がのぼる空 5 long long walking under the half-moon■ 【著:橋本紡/絵:山本ケイジ/レ:電撃文庫】
明らかに繋ぎで終わったのと、正直この巻でやめといたほうが・・・と言う危惧で○つけに終わったものの、この位置は当然と言えるシリーズ。

同率第9位 13票
■ゼロの使い魔 (6) 贖罪の炎赤石■ 【著:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/レ:MF文庫J】
これがかなり意外でした。ツンデレの王道作品ですが、それだけでは無い深みも意外にあったりしてあなどれないシリーズです。
さて、BEST10はこんな感じでした。片山憲太郎作品が食い込むかと思ったのですが、電波と紅で完全に票が割れてしまったようです。残念。
しかし、このBEST10に限らず、少なくとも3票以上入っている作品はチェックしてみても損の無い作品だと思います。
未チェックのものがあれば是非手にとって見ては如何でしょうか。

最後に自分の投票分。
○ニライカナイをさがして 【著:葉山透/絵:山都エンジ/レ:富士見ミステリー文庫】
素晴らしい!。展開もキャラもベタそのもの。しかし、それを圧して魅力的なキャラと描写力。
ボーイ・ミーツ・ガール小説のまさに手本。作者曰くロードムービー小説と言うが如く、沖縄を
舞台にした短編恋愛映画を心地よく見終わったかのような爽やかな余韻。
読み切り小説としての完成度は非常に高い。葉山透の底力を感じさせる一冊。

薔薇のマリア III. 荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐 【著:十文字青/絵:BUNBUN/レ:スニーカー文庫】
SMC編のまとめとして相応しく鬱展開から反撃まで怒涛の勢いで熱く読ませてくれます。
集団戦から個人戦までシーン描写は全て臨場感があり、個々のキャラ立ちも見事。
シリーズとして完熟の一作と言えると思います。

ある日、爆弾がおちてきて 【著:古橋秀之/絵:緋賀ゆかり/レ:電撃文庫】
白古橋の名作。短編七話ともにハズレがない。突飛な設定を物語として上手に昇華し、
しかも短編として纏める。そしてそのどれも余韻高い。見事としか言いようのない上質な
短編集。

紅 【著:片山憲太郎/絵:山本ヤマト/レ:スーパーダッシュ文庫】
幸福ゲームも良かったがインパクトでこちらを。7歳のヒロイン紫を初めとしてサブヒロイン全てが
魅力的なボーイ・ミーツ・幼女小説。特に紫は少女なりと奔放さと素直さがしっかりと書かれていて
好感が持てる。。エンディングも爽快で、どちらかと言うと白片山作品といった感がまた好ましい。
イラストも抜群でどっから切ってもレベルの高い、完成度の非常に高い一作。

聖者の異端書 【著:内田響子/絵:岩崎美奈子/レ:C・NOVELS FANTASIA】
正統派のゴシックファンタジー。注目のギミックは主人公の姫君が宗教的に地位が低く名も語られぬ
女性として扱われている所。これがラスト、そしてエピローグまで貫かれ、読後に独特の余韻を残して
くれます。12月のベロニカと言い、こう言うクラシックなファンタジーに弱いのです。

以上、ライトノベル板大賞 2005下半期の結果と感想でした。
さて、ライトノベル板大賞が締め切ったので自分的な総括を少し。
この下半期の期間でこの日記で◎をつけた作品は以下。
紅 【著:片山憲太郎/絵:山本ヤマト/レ:スーパーダッシュ文庫】
ニライカナイをさがして 【著:葉山透/絵:山都エンジ/レ:富士見ミステリー文庫】
空ノ鐘の響く惑星(ほし)で (9) 【著:渡瀬草一郎/絵:岩崎美奈子/レ:電撃文庫】
私立!三十三間堂学院 【著:佐藤ケイ/絵:かみやまねき/レ:電撃文庫】
銀盤カレイドスコープ vol.5 ルーキープログラム 【著:海原零/絵:鈴平ひろ/レ:スーパーダッシュ文庫】
銀盤カレイドスコープ vol.6 ダブル・プログラム 【著:海原零/絵:鈴平ひろ/レ:スーパーダッシュ文庫】
プリンセスの義勇海賊 【著:秋山完/絵:結賀さとる/レ:ソノラマノベルス】
滅びのマヤウェル―その仮面をはずして 【著:岡崎裕信/絵:西E田/レ:スーパーダッシュ文庫】
ある日、爆弾がおちてきて 【著:古橋秀之/絵:緋賀ゆかり/レ:電撃文庫】
かくて背信の旅はおわる トワイライト・トパァズ4 【著:佐々原史緒/絵:瑚澄遊智/レ:ファミ通文庫】
煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same 【著:貴子潤一郎/絵:ともぞ/レ:富士見ファンタジア文庫】
ブルースカイ 【著:桜庭一樹/絵:----/レ:早川文庫JA】
魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険 (2) 【著:月見草平/絵:銀八/レ:MF文庫J】
薔薇のマリア(3) 荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐 【著:十文字青/絵:BUNBUN/レ:スニーカー文庫】
老ヴォールの惑星 【著:小川一水/絵:撫荒武吉/レ:早川文庫JA】
聖者の異端書 【著:内田響子/絵:岩崎美奈子/レ:C・NOVELS FANTASIA】
憐 Ren ~routine~ 【著:水口敬文/絵:シギサワカヤ/レ;スニーカー文庫】
電波的な彼女 ~幸福ゲーム 【著:片山憲太郎/絵:山本ヤマト/レ:スーパーダッシュ文庫】
クドリャフカの順番―「十文字」事件 【著:米澤穂信/絵:−/レ:角川書店】
犬はどこだ 【著:米澤穂信/絵:−/レ:東京創元社】
米澤穂信はミステリ畑のハードカバー出版であるけれどもクドリャフカは古典部シリーズの正当な続編であるし、クオリティの高さでは他を圧していた。ライトノベル板大賞から外したのはミステリとして評価しているからに過ぎない。
片山憲太郎は電波的な彼女から一転、『紅』で明るめの作品で新たな可能性を示して見せた。
薔薇マリ、空鐘、銀盤カレイドスコープ、半分の月がのぼる空、タクティカルジャッジメント、ゼロの使い魔、GOSICK、など鉄板のシリーズが好調な裏で、惜しまれながらも完結したシリーズも多い。
トワイライト・トパァズ、平井骸惚此中ニ有リ、憐、そして私はあまり評価していないが西尾維新の戯言シリーズ。がそんな所だろう。
小川一水、成田良吾は安定した作品を出しているがインパクト的にはイマイチではあった。また新井輝のRoomシリーズも段々と尻すぼみになっているきらいが感じられる。
短編のまとめとは言え星界シリーズの新刊、断章が発売されたのは嬉しいニュースであったが、久しぶりと言えば秋山完の新刊、プリンセスの義勇海賊も嬉しいニュースであった。小川一水に負けずに国産SFの旗手として頑張ってほしいのだが。

そんな中、二重丸はつけなかったものの、
神様ゲーム カミハダレニイノルベキ 【著:宮崎柊羽/絵:七草/レ:スニーカー文庫】
疾走!千マイル急行 【著:小川一水/絵:長澤真/レ:ソノラマ文庫】
円環少女 (1) バベル再臨 【著:長谷敏司/絵:深遊/レ:スニーカー文庫】
わたしたちの田村くん2 【著:竹宮ゆゆこ/絵:ヤス/レ:電撃文庫】
このあたりは印象深かった。

しかし年々売れる本はシリーズ化していくこの業界で読み切りで読ませると言う事が段々貴重になってきたように感じる。
そう言う意味でニライカナイ、ある日爆弾が〜、聖者の異端書、ブルースカイ等が新鮮に見え、結果として今回の投票行動に反映されたと言える。

誘拐の果実 (上)

2006年1月27日 読書
ISBN:4087478793 文庫 真保 裕一 集英社 2005/11/18 ¥680
病院長の孫娘が誘拐された。身代金は捜査の手を逃れて緊急入院した実業家の命。陰謀か、挑戦か。同時期にもう一つの誘拐が! 逆転に次ぐ逆転、戸惑う家族と捜査陣。前代未聞の誘拐事件を描く長編。
17歳の病院長の孫が誘拐され、その事件と重なるように19歳の本屋の跡継息子が誘拐された。
奇妙な要求、翻弄される捜査陣、事件を機に変わろうとする家族。しかしその二つの誘拐の根底には・・・。

真保裕一の作品の中でも抜群の出来だと思います。上巻では誘拐事件の成り行きでぐっとひき付け、下巻ではその真相が二転三転して語られる。まさに息もつかせぬドラマが繰り広げられます。
最後の真相については綺麗に纏めすぎとの感もありますが、作品の完成度を損なうものではないし、素直に読めば非常に感動します。

後書きにもありますが著名なミステリ作家の誘拐モノと言うのはありふれたテーマであるだけに生半可では書けない=名作多しの図式があるのでしょうか。この誘拐の果実も真保作品の中でも圧倒的な存在感のある作品だと思います。

ミステリどうのこうのと言うよりも一つのドラマとして楽しめる傑作。というか主人公の19歳と17歳の男女をイラスト変換すればライトノベル派にもイケる本だと思うのですがどうでしょう(笑
いよいよ2chライトノベル板大賞が始まりました。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1137160796/

なんと今回は毎回ライトノベル板大賞なのにいつも忘れ去られていた『板』の字がスレッドにも復活!(余談)

思えば後の世にぶらり厨vs瑞っ子の大決戦として記憶に残らしめた2001年下半期に初めて投票をして以来、これで9回目。
半年に一回のこの大賞は総括としても祭りとしてもウキウキするものです。

1/14〜1/28の2週間の投票期間に昨年7月〜12月発売の作品から5作品までに投票する事が出来ます。
詳しいルールはスレッド参照の事。

いよいよ総括ですね。週末じっくり纏める事にしましょう。

過去の大賞の記録についてはまとめサイトもありますのでご興味がある方はどうぞ。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/3018/lnprz.html

また歴代の上位10位までの抜粋もあります。
http://onigiri.s3.xrea.com:8080/laten/index.php?%5B%5B%A5%E9%A5%A4%A5%C8%A5%CE%A5%D9%A5%EB%C2%E7%BE%DE%A5%EA%A5%B9%A5%C8%5D%5D
ISBN:4840232164 文庫 雨宮 諒 メディアワークス 2005/11/10 ¥578
僕はどこかへ行きたかった。 僕はどこへも行けなかった。
修一は、夢久島という長閑な島に暮らす高校2年生。
学校生活にどこか馴染めない自分を自覚しつつ “能面” を被って、友達とも “普通” に過ごしていた。
夏休みに入った日、修一は、港で海を見ながら泣いている一人の女性と出会う。
夢久島には、「海で “呪文” を唱えると本当の自分の居場所に連れて行ってくれる」 という噂がある。
その話を確かめるために彼女はこの島に来たというのだが……。
彼女との出逢いにより、修一の “能面” の日常に変化が訪れる。
はたしてその “呪文” とは――?
島に伝わる噂をめぐり、心に傷を抱えた人々が織り成す、心ビタミン短編連作ストーリー。
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_item.php?cd=A0512440
11月に買ってそのままにしておいた積本を漸く発掘。
読み始めは重苦しいストーリーなのかと思いきやさにあらず。普通のボーイ・ミーツ・ウーマンな物語を皮切りに『夏月の海に囁く呪文』に纏わる連作短編集になっています。
誰にでもある、自分の居場所は本当にここで良いのか、と言う漠然とした不安。自分と言う人間に対する不信、自身の無さ。
自分が自分で居られる本当の自分の居場所とは何処なのか。
その回答のヒントが得られるかも。
読みやすく、胸を突き、不思議な余韻に駆られる。
そんなつかみ所の無い物語。
ISBN:4044710058 文庫 十文字 青 角川書店 2005/12/28 ¥650
"エルデンの突如現れた謎の人物ルイ。自称“ベストセラー小説家”のその男が、8億ダラーの伝説の賞金首「蜥蜴四兄弟」の討伐企画を発表。マリアたちZOOも賞金目当てに参加することにするが、そこで待ち受けていたものとは!?一方、街は異界生物があふれ出てくるという異常事態に。「世界がおかしい」―人々がその異変に気付き始めた瞬間、それは大いなる意思による、大いなる実験のはじまりだった!異常事態に恋の花咲く新展開!!"
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200508000128
薔薇マリ四巻は新展開。いよいよキンググッダーを始めこの世界そのものの謎に話が踏み入り始めます。主人公マリアローズのいぢけっぷりが過剰で鬱陶しいのですが、それもしょうがないと思えるサブキャラ達の出鱈目な強さっぷりで上手にバランスをとっているのかなと。
前巻まで圧倒的な存在感を持っていたトマトクンが今回は出番無しなのもマリアローズの葛藤と脱皮をより前面に出すと共にサブキャラがトマトクンの前で霞んでしまわないようにと言う意図なのでしょうか(笑
マリアを巡る三角関係、ユリカに恋の予感?カタリ大活躍、やっぱり強いミスターピンパー等、小ネタを含めて飽きさせないWizadry風ファンタジーはますます今後が楽しみです。
ISBN:4840114722 文庫 著者:月見草平 イラスト:銀八 メディアファクトリ- 2005/12/22 ¥609
法の鍵も扱える特殊職業、魔法鍵師。鍵師試験をパスしたカルナは、師匠のミラの店で本格的に仕事の手伝いを始めていた。一方ミラは、旧友ブレイトンが残したランキンの「究極のマスターキー」に関する資料に没頭する毎日。ランキンの魂を受け入れた親友・エクセラの魂を救い出すためだ。そんなある日、店にひとりの女性がやってくる。ミラを見るなり「お姉様!」と飛びついた女性にカルナは驚くが、彼女はミラの後輩・ヴェルナだった。ヴェルナはミラに、「鍵開けの技術を教えてください」と頼みこむ。どうしても返してもらえないものがあるので、取り返したいというのだが……それって泥棒!? 鍵開けファンタジー、第3弾!
http://www.mediafactory.co.jp/cgi-bin/bunkoj_detail.cgi?id=6380
魔法鍵師カルナシリーズも早くも三巻。派手さは無いのですが地味に面白いこのシリーズ。今回は鍵師から一転泥棒にと言うイベントで目先を変えてくれます。
エクセラとミラとの関係、そしてミラと後輩ヴェルナとの関係。ラストの展開もある程度読めてしまいますが王道のパターンでそれはそれで良し。欲を言えば手堅く纏めすぎの感はあります。
それも含めてこのシリーズのカラーなのでしょうが。

紅 ◎

2006年1月5日 読書
ISBN:4086302721 文庫 片山 憲太郎 集英社 2005/12 ¥650
紅真九郎、世界屈指の大財閥・日本の表御三家に挑む!
新人の揉め事処理屋である真九郎のもとに、少女を匿い守れという依頼がきた。大財閥である九鳳院の娘・紫との奇妙な共同生活慣れたころ、紫を狙う人物が二人を襲う。彼女を救えば自分の命はない、しかし真九郎が選んだ行動は……! 『電波』の世界観を引き継ぐ待望の新シリーズ!
電波的な彼女シリーズで評価を得た片山憲太郎がクロスワールドで描く新シリーズ。某HPでボーイ・ミーツ・幼女小説とか書かれてて大笑いしました。良く特徴を現しているかと(笑)
ヒロイン紫を始め、銀子、夕乃と言ったサブヒロインも魅力的。特に紫は7歳の少女なりの奔放さと素直さが少しあざといながらもしっかりと書かれていて宜しい。
電波的〜では黒な部分も多いが、今回の紅ではそのあたりも控えめ。きっちりハッピーエンドの爽快な終わり方でその点でも好感が持てる。またイラストも抜群に作品を引き立てていて一冊の本としての出来も良い。完成度の高い良作と言えると思う。
お奨めです。
最近の滅びのマヤウェルと共にSD文庫の顔となるべく頑張ってほしい。
ISBN:4840232121 文庫 久住 四季 メディアワークス 2005/11 ¥683
驚くべき “L” の秘密―― 人里離れた研究所で密室殺人事件発生!
その怪事件は、新緑芽吹く初夏、人里離れた魔学部付属研究所にて幕を開けた。
車椅子の“五番目”の魔術師が主催する魔術実験に招かれた周たちは、あり得ないはずの殺人現場に遭遇する。
密室と化した実験場にて繰り返される惨劇。
外からの侵入を寄せ付けないこの研究所において、考えうる犯人は内部の者しかいない。
それはまさに、“嵐の山荘” ともいうべき状況であった。
美しき女魔術師が舞台を去り、幕引きは周の手へと委ねられる。
「―― 犯人は詐術師(トリックスター)だ」
という彼女の言葉を頼りに、周が辿り着いた驚愕の事実とは!?
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_item.php?cd=A0512490
電撃文庫でもかなりミステリーよりでどちらかと言うと西尾維新を始めとするファウスト系に近い作風のトリックスターズ続刊。
世界でも六人しか居ないと言う特異能力者『魔術師』が絡んだミステリの王道、嵐の山荘での密室殺人事件。ハウダニットの推理で完結させておいて実はフーダニットに近い幕引きとかファウスト系ミステリとしては悪くなく、及第点ではあるのですが、ライトノベルとして見ると致命的にキャラが弱いのが気になります。
前作が比較的キャラに視点を置いた話だったのでシリーズ二段目はトリックに重きを置いたと言う風なのですが、まだ二作目である事を鑑みるともう少しキャラを深めるエピソードが欲しかった。特に主人公の魅力の薄さは致命的です。
相対的には悪くないのですがいかにもパンチ不足と言うのが総括の評価です。ただ電撃レーベルでミステリーを出し続ける意義は買うので次巻、頑張って欲しいところです。

シナオシ ○

2005年12月17日 読書
ISBN:4829163305 文庫 田代 裕彦 富士見書房 2005/12/10 ¥588
"私はかつて「僕」だった。犯すべきでない罪を犯した。そうして、その短い人生を終えたのだ。 生前に犯した罪を後悔していた「僕」は、別人として生き返り、再びこの世界に舞い戻る。けれど、私は私として生活するうちに、「僕」だった頃の記憶のほとんどを失っていた。 と名乗るそいつが、私の目の前に現れるまで。「やあ。久しぶりだね」かつて犯した犯罪を阻止すること。その為に時を遡り為直す者―となったこと。私は、私の真の目的を思い出す。こうして再びとなった私は「僕」がこれから犯すであろう罪を阻止する為に動き出す。過去、現在、未来。交錯する時間の流れの中で、私は真実の自分を追う。全てをもう一度、為直しするために。残された時間は、あと僅か―。衝撃のタイムパラドクス・サスペンス!"
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200510000051
ギミックは面白く、謎解きの部分も良く出来ていると思う。それにも関わらずどうも記憶に残らないと言うか飛びぬけた印象が無いのはまとまりすぎているからだろうか。おかしいなぁ、出来は良いと思うのに。
いや本当。

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鴉

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