魔術師の娘 ◎

2005年8月22日 読書
ISBN:4150203954 文庫 宇佐川 晶子 早川書房 2005/08/09 ¥882
アルダー神の弟子となった孤児は、やがて魔術師ベルガラスとして神の指示のもと光の“予言”を実現すべく力を尽くすようになった。
邪神トラクから“珠”を奪還するという重大な使命にも成功し、ベルガラスの名は世界に知られるようになる。
だが、最愛の妻ポレドラの死に打ちひしがれた彼は放浪の旅に出た。
神の与える使命も生後まもない娘たちも捨てて…。
ベルガラスと娘たちの心のつながりが描かれる波乱万丈の第2巻。http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-ISBN=4150203954
魔術師ベルガラスの第二巻です。現在新装版で復刊された『ベルガリアード物語』とその続きである『マロリオン物語』の前日譚ですが二つの物語が終わった後にベルガラスが一人称で述懐する形式ですので、両物語を読了してからの方がお奨めです。
第1巻では魔術師ベルガラスの誕生から珠をトラクから取り戻すための冒険譚、そしてポレドラとの結婚、娘の誕生と妻との死別まででした。第2巻では妻との死別からの立ち直り、二人の娘の成長と和解。そして数千年の経緯の中で、マラゴーの悲劇、ワキューン一族の滅亡、リヴァ王一族の暗殺と以前は歴史として語られていた物語が多少はしょり気味ではありますが次々と語られていきます。
このあたりは続刊予定のポルガラ編で詳しく語られるのかもしれません。今回の見所はベルガラスとポルガラと言う世にも特異な魔術師父娘の心の交流です。妻との死別に失意のあまり幼少期に全く放っておかれた聡い娘を最初は手に余らすものの次第に深い愛情と共に見つめていくベルガラス。特に娘の恋愛にやきもきする父親・ベルガラスの姿はいかにもヒューモラスで彼らしい。時に見せるその父娘の深い愛情表現にじわりと感動しながら共に歴史を追っていけます。
いよいよベルガリアード物語の主人公、ガリオンの登場も近くなってきした。最大のイベントであるトラクの西方侵攻とボー・ミンブルの戦い。そしてガリオンの両親の悲劇。大戦記あり、愁嘆場ありでますます目の離せない最終巻になりそうです。
鴉

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