第1位 42票 『ALL YOU NEED IS KILL』(桜坂洋/安倍吉俊/スーパーダッシュ文庫)
当日記12/23感想

第2位 33票 『復活の地 III』(小川一水/前嶋重機/ハヤカワ文庫JA)
当日記10/29感想

第3位(同率)23票
『灼眼のシャナ VII』(高橋弥七郎/いとうのいぢ/電撃文庫)
未読。当日記感想無
『悪魔のミカタ (13) It/MLN』(うえお久光/藤田香/電撃文庫)
未読。当日記感想無
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』(桜庭一樹/むー/富士見ミステリー文庫)
当日記12/15感想

第6位(同率)21票
『バッカーノ! 1933〈下〉THE SLASH 〜チノアメハ、ハレ〜』(成田良悟/エナミカツミ/電撃文庫)
当日記11/10感想
『フルメタル・パニック! つづくオン・マイ・オウン』(賀東招二/四季童子/富士見ファンタジア文庫)
当日記10/21感想
『涼宮ハルヒの消失』(谷川流/いとうのいぢ/角川スニーカー文庫)
当日記8/6感想

第9位 20票
『空ノ鐘の響く惑星で (5)』(渡瀬草一郎/岩崎美奈子/電撃文庫)
既読。当日記感想無し

第10位 19票
『9S〈ナインエス〉 IV』(葉山透/山本ヤマト/電撃文庫)
既読。当日記感想無し

以下は大賞スレでどうぞ。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1105802918/
またまとめや過去の大賞の受賞作についてはラ典の歴代受賞作一覧をご覧ください。
http://onigiri.s3.xrea.com:8080/laten/index.php

感想としては1位『ALL YOU NEED IS KILL』は確かに良作でしたが1位になったのは出版の時期も良かったと思っています。
『復活の地 III』の2位は意外。自分としては大好きな作品ですが2位になる程支持されているとは・・・。小川一水の浸透度を物語っているのでしょうか。(まあ2chレベルですが・・・)
3位の二作は実は読んでないです。シャナは途中で買わなくなっています。悪魔は一巻読んで買わなくなりました。ですので評価不可。後は砂糖菓子が健闘で空鐘は10位に入ってくるかぁと言う感じ。後は無難なのではないでしょうか。
悔いは『眠り姫』をフォローアップ出来なかった事。読んでいれば確実に大賞に投票していたでしょうが・・・。
総評にもある通り、2004年下半期は豊作であったと言えるのではないでしょうか。特に電撃文庫に拘らず幅広いレーベルから良作が生まれたのは良い事だと思われます。

ちなみに自分の個人投票の内容も晒して起きます。日記の感想を整理した感じで投票しています。

●大賞・イチオシ賞
○『天槍の下のバシレイス?まれびとの棺(下)』(著:伊都工平/絵:瑚澄遊智/レ:電撃文庫)
票を纏めるには一巻に投票したほうが良いのですが敢えて二巻。
一巻だけなら並の良作なのですが二巻一章での程好いインターミッションとストーリーの意外な転び方、上下それぞれで四人のキャラの逸話を描ききるしっかりとした構成。
非常に纏まった作品として自分の中では間違いないイチオシ作品になりました。
正直いちごタルト、GOSIKと迷いましたがこちらを。

『復活の地 III』 (著:小川一水/絵:前嶋重機/レ:ハヤカワ文庫JA)
発表中に新潟中越地震もあり、また関東大震災が元ネタだろうと言う事もあり、身につまされるシリーズ。
絶望的な状況の中で生きようともがきながら一歩一歩進んでいく人々から発露する搾り出されるような善意は相応の説得力を持って感動を生んでくれます。
最後もぐだぐだにならずにきちっと纏め、クオリティを維持しながら定期的に作品を発表する作者の成長が感じられて嬉しいかぎりです。

『ALL YOU NEED IS KILL』(著:桜坂洋/絵:安倍吉俊/レ:集英社スーパーダッシュ文庫)
年末に思わぬ伏兵登場と言った感のあるこの作品。
個人的にループ物が好きと言うのもありますが、途中ではゲーム的な面白さ。
ラストではせつなくやるせなく纏めてバランスの良い良作に仕上がっているかと思います。
最後に余韻のある作品は好きです。

『春期限定いちごタルト事件』(著:米澤穂信/絵:片山若子/レ:創元推理文庫)
ライトノベルとしてもミステリとしても青春小説としても完成度高し。儲とすればもうあげざるを得ない。
小ざかしいけど憎めない小鳩君。振り返るとヤツが居る小山内さん。頼れる友人健吾。
しっかりとしたキャラ立ちの元に描かれる適度に毒の効いたそれぞれの小話。 
地味だけどしなやかな読み甲斐のある一冊。

『GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―』(著:桜庭一樹/絵:武田日向/レ:富士見ミステリー文庫)
萌えだけじゃないんだ!!と言いたいんだがまあヴィクトリカが可愛過ぎるのが反則。
作品を地味に支える心理描写とかキャラの描き方の美味さは推定少女でも砂糖菓子でも証明されてるし。
萌えで良いじゃない。

次点は『平井骸惚此中ニ有リ 其参』、『薔薇のマリア I..夢追い女王は永遠に眠れ』『9S〈ナインエス〉 IV』、『吉永さん家のガーゴイル 4』の四点

●キャラクター賞

【小佐内ゆき&小鳩常悟郎】(春期限定いちごタルト事件)
どちらも一癖も二癖もある面白カップル。特に腹に一物小佐内さんのキャラが良い。
作者ホームページの登場人物リストで爆笑。

【ヴィクトリカ・ド・ブロワ】(GOSICK)
萌え。大賞圏内ではないが四巻のフリルボールとかイラストもあって悶えまくった。
やばすぎる。

【河上君&平井涼】(平井骸惚此中ニ有リ)
鈍感主人公とツンデレ娘のなんて素晴らしげなカップル。
河上君&平井撥子嬢もなかなか良いわけですがちとヤバいので。

【川中島敦樹】(天槍の下のバシレイス)
言ってみればシリアス版相良宗介の女性編?
特に理由は無いんですがなんとなく好きです。こう言う芯の強いキャラ。

【デイモン・ギャレット】(DADDYFACE メデゥーサ )
反則キャラ。主人公の立場無さ杉。メデューサ編は彼の為に書かれたと言っても過言ではない、ような気がする。

眠り姫 ◎

2005年2月5日 読書
ISBN:4829116633 文庫 貴子 潤一郎 富士見書房 2004/10 ¥609

夢の中で彼女は恋をするあまりにも静謐な恋の行方は…。第14回ファンタジア長編小説大賞・大賞受賞者貴子潤一郎、初の短編集登場!
彼女は『眠り姫』と呼ばれていた。成績優秀で美人だった彼女の唯一の欠点である“居眠り”癖を、同級生たちがからかい半分で付けた渾名だ。そのことに拗ねる彼女の顔がまた可愛らしく、私はさらに「姫、姫」と意地悪をした。そんなたわいもない、しかし幸せな日常を私は楽しんでいた。そして、彼女との日々がいつまでも続くものと思っていた―。彼女が、本当に『眠り姫』になってしまうまでは…。あまりにも静謐な純愛を描いた表題作ほかバリエーション豊かな作品を収録!大賞受賞作家・貴子潤一郎の珠玉の短編集登場!!
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200406000112

2003年1月に『12月のベロニカ』で大賞デビューした後、某所でも一部で高い評価を受けながらその後全く音沙汰の無かった作者の1年10ヶ月ぶりの新刊です。
実は先年の10月に出された本ですっかりスルーしていました(汗
2chの大賞で名前が挙がっていて漸く気づいて買ってきた次第。
しかし待望の新刊はまさに珠玉の短編集と言うに相応しいクオリティの高い一冊でした。
表題の『眠り姫』は『十二月のベロニカ』の主題を現代に移して50ページで書いたもの。たった50ページの中に物語が見事に凝縮されており、読み終えた後の余韻も十分。この最初の短編で圧倒されました。そして『さよならアーカイブ』『探偵真木』三連作など、これでもかとばかりにレベルの高い、豊富なバリエーションの作品が詰め込まれています。
この方が寡作だと言うのが本当に惜しい。量産に入れば富士見のひとつの柱になれる作家さんだと思うのですが・・・。
良い意味でライトノベルの枠に捉われていない、とても良い短編集でした。ごちそうさまです。
ISBN:4797495588 文庫 日日日 新風舎 2005/02 ¥590
天才高校生作家デビュー!!
「ちーちゃんこと歌島千草は僕の家のごくごく近所に住んでいる」――幽霊好きの幼馴染・ちーちゃんに振り回されながらも、「僕」の平穏な日常はいつまでも続くはずだった。続くと思っていた――あの瞬間までは。
怪異事件を境に、ちーちゃんの生活は一八〇度転換し、押さえ込んでいた僕の生活の中の不穏まで堰を切って溢れ始める……。
疑いもしなかった「変わるはずがない日常」が音を立てて崩れ落ちていくさま、それをただ見続けるしかない恐怖を描いた、新感覚のジュブナイル・ホラー。世紀末の退廃と新世紀の浮遊感を内包した、新時代作家・日日日(あきら)、堂々デビュー
http://www.shinpusha.co.jp/cgi-bin/php2/data_more.php?more=4-7974-9558-8&;select=&mode2=mbook
最近流行りなんでしょうか。桜庭一樹の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を初めとして昨年は鬱系、イタい系の作品が話題を得ました。
この『ちーちゃん』もそんな話。壊れて行く少女とそれを見続ける少年の話です。人によってはジュブナイルホラーと言う事で乙一を思い浮かべる方も居るかと思います。そんな感じです。
特筆すべき点はその読みやすさ。読もうと思えば一時間かからずに、一気に読み下せます。まあその間にストーリーはどんどん進んで行きますのでつっかえる所がありません。
ただ、なんというかあっさり纏まり過ぎていてイタい小話と言う印象しかありません。こう言う話と言うのはハッピーエンドは望めませんのでその代わりに如何に読後に余韻を残すかと言うのが良作か否かの線だと思うのですがこの話は最後にぶつっと途切れてしまいます。その先に続く余韻をぶったぎっているワケで、なんとなく世にも奇妙な物語とかああいうネタ系短編ホラーの雰囲気がまんまんなわけです。ドラマでは良いかも知れませんが、一冊の小説としてはどうなのか。端的に言えばあっそう、で終わってしまうのですな。薄っぺらいと言うか。
まあ作者はまだ高校生との事ですので今後の成長は十分に期待出来ると思いますがこの作品に関してはまだまだだなぁと言う印象でした。
ISBN:406182404X 新書 上遠野 浩平 講談社 2005/01/14 ¥966
涙。――それは誰もが流すもの。たとえ禁じられても、こらえきれず溢れるもの……
魔導戦争の隙間にあるその非武装地帯には、見せ掛けと偽りの享楽と笑顔の陰でいつも血塗れの陰惨な事件がつきまとう。
積み重ねられし数十年の悲劇の果てに訪れた大破局に、大地は裂け、街は震撼し、人々は喪った夢を想う……
そしてすべてが終わったはずの廃墟にやってくる仮面の男がもたらす残酷な真実は、過去への鉄槌か、未来への命綱か……?
http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/kadono/
上遠野浩平の事件シリーズと言われるシリーズの第四巻。
禁涙境と呼ばれる街で起きた事件を時系列に語る中篇連作。
それぞれの事件と謎は大した事は無いのですが、最後にきっちりと纏め上げて余韻を残すその書き方はさすが上遠野浩平と言った所です。しかしながら何か突出したものがあるかと言うとうーんと首を捻ってしまいますし、シリーズ物にしてはせっかくのキャラも今回は薄いですし。主役級のEDの過去話があると言うくらいしか特記する事がありません。
まあシリーズ通して読んでいるなら取り合えず買っておけば損はしないよ、程度でしょうか。
ISBN:4063143686 コミック ひぐち アサ 講談社 2005/01/21 ¥540
ごーさんの所で以前から面白いと聞いていたんですが
http://www2u.biglobe.ne.jp/~go-as/main.htm
某R氏のお墨付きもついたんで買ってみました。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/6426/

むむ。確かに面白い。こう言う集団スポーツ漫画として必須の各キャラのキャラ立ちもしっかりしてますし、阿部-三橋の信頼感を高めていくやり取りに代表されるキャラクターの心情描写が綿密に描かれている所は青年誌連載漫画に相応しく、雑な少年漫画とは一線を画していてGOODかと。
手法的に少女漫画に近いのかな、と思ったのは読んでいてなんとなく羅川真里茂の『しゃにむにGO』を思い出したから。
変にストーリーに恋愛が絡んでなくて良いね、と思ったらR氏も日記で書いている通り阿部×三橋と言う構図が特定の女性集団に人気らしいです。まあなんとなく解ります(笑)。
中々良い買い物をさせて戴きました。
が始まっております。16日からなのでアナウンス遅すぎですが。
是非参考&良ければ投票どぞ。

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1105802918/
ISBN:4840229104 文庫 水瀬 葉月 メディアワークス 2005/01 ¥620
過去の悪夢を祓うため、絵馬は全てを懸けて戦いに挑む!
 かつて優しい父がいた。愛に溢れた母がいた。そして彼らの間で幸せな日々を送る幼い少年がいた。だが、全ては失われてしまった。逃がし屋・絵馬が担った仕事における、最悪の失敗。取り返しのつかない過ち……。
 そしていま、また一つの幸せな家族が引き裂かれそうになっていた。絵馬は結界師としての全ての力を使い、家族の幸せを分かつ者──5人の妖狐の長が治める里へ戦いを挑む! 倫太郎の家族を救えなかった、あの過去の悪夢を蘇らせないためにも……。
結界師シリーズもはや3巻。今回はストーリー的には予定調和に収まってしまってややパワーダウンの印象を受けました。ストーリー展開が読めてしまって最後もあっさりとハッピーエンドになってしまうのでもう少し一族間の確執とか恩讐みたいなのを感じさせてもらえないとあっさりとしすぎですね。
読みやすいのは○なんですが。絵馬もイマイチ活躍しなかったしねぇ。地雷ではないんですが。そこそこ読めて面白いんですが。もう一つパンチを効かせてくれないかなというのが素直な感想でした。
ISBN:4840229066 文庫 葉山 透 メディアワークス 2005/01 ¥662
ついに核心へ、深淵への扉は開かれた!!
ADEMを離脱した由宇、そして闘真。峰島勇次郎の痕跡を追う逃避行が始まる。向かうは因縁の地──旧峰島研究所であった!
一方、ADEM司令伊達は数々の失態を問われ更迭の危機に。その裏には黒い噂が絶えぬ切れ者、黒川謙がいた。ADEMに代わる強硬な組織設立を目論む黒川は、伊達より早く由宇を拘束しようと動く。そして由宇を狙う第三の集団、謎の傭兵部隊「七つの大罪」。
今、かつてない脅威が由宇に迫らんとしていた!!

今回はADEM編前編と言う事ですが中々構造としては熱いです。
伊達vs黒川の構図とかこう言う組織内での政治的抗争とか好きです。そして胡散臭い七つの大罪とかはまあ良いとして真目家とADEM連合の反撃が待たれるところです。
個人的には麻耶の出番が少なかったことが不満です。
闘真の日常生活の事を聞きたがるシーンが健気でねぇ。
前回4巻でのまとめも熱かったので次巻後編に大きく期待するところです。

◎ GOSICK 4

2005年1月14日 読書
ISBN:4829162880 文庫 桜庭 一樹 富士見書房 2005/01 ¥588
ヴィクトリカの存在の謎の一端が明らかに!?
今回は、ソヴュールに過去に君臨した錬金術師の謎を、一弥とアブリル、そしてヴィクトリカとセシルが二手に分かれて追いかけるというお話。数十年前、王国ソヴュールに風のように現れ、政治を裏から操った一人の錬金術師がいた。その名をリヴァイアサン。生死不明のまま歴史の舞台から去った彼の手記をヴィクトリカは図書館塔の中から発見する――。前作に引き続いて、囚われの姫ヴィクトリカの出自の一端が明らかになります。
http://www.kadokawa.co.jp/fujimi/mystery/search.php?pcd=200410000325
今回の話はある錬金術師の話。おとぎ話と現実が錯綜してくらくらとする幻惑感を味わう中に、各キャラのくすりとするエピソードが盛られており、心地良くテンポ良く話を読み進めて行ける所は相変わらず素晴らしい。
ストーリーもしっかりとミステリしており、キャラクターもそれぞれ立っている。ヒロインのヴィクトリカやサブヒロインのアブリルはそれぞれ可愛らしくついついにやけてしまうようなシーンもてんこ盛り。ミステリとゴシックとボーイ・ミーツ・ガールの要素がバランス良く含まれた良作である。
また今回もヴィクトリカの存在の秘密が少しづつ明らかにされており、こじんまりとした箱庭風ミステリから一転、田中芳樹言う所のルリタニア・テーマ的な冒険の予感がしてこれからも目が離せない。
小説の出来もさる事ながら武田日向のイラストが素晴らしい。このイラストのおかげで小説の魅力がさらに増している。個人的にはフリルボールとかこの人誰とかもうやられっぱなし。巻頭のカラーイラストの美麗さにも目を魅かれる。
個人的趣味ではあるがこのシリーズは本当に好み。
是非手にとってイラストだけでも見てみて戴きたい。
ISBN:4840229147 文庫 秋山 瑞人 メディアワークス 2005/01 ¥557
夏がもういちど来ます。人生にたった一回の特別な夏が……。
「ものすごく環境のいいところだから勉強をするにはもってこいだ」
 そんな誘い文句に騙されて夏休みをとある小さな島で過ごすことになった武田正時。
 ところが来て早々、どうもこの島はとてつもなく“奇妙”なところがある、と気づかされることになり、一方、「友達になってくれないか」と頼まれた相手は不思議な感じの、だがとてもかわいい子で──。
 超人気シリーズ『イリヤの空、UFOの夏』の秋山瑞人&駒都えーじのコンビが贈るボーイ・ミーツ・ガールストーリー。今度の夏もただでは終わらない……。
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/index.php
『猫の地球儀』で名前が浸透、『イリヤ』でブレイクした秋山瑞人の新刊は、本人も後書きで語るように『イリヤ』アニメ化記念もういっちょ同じボーイミーツガールもので販促やってみようと言う素直に商業的な理由で書かれたらしいのですが、だからと言って作品の質が落ちていると言う訳でもないので宜しいのではないでしょうか。夏がもういちど来ます。人生にたった一回の特別な夏が……。なんてまさにイリヤファンくすぐりまくりじゃないですか。上手いねえ。

しかしそれにしても今回はまだ殆ど導入部分なのにも関わらず自然と引き込まれて止まらずに読めてしまう所が凄い。南の離島と言う環境で主人公の日常と非日常が織り交ざった生活をすらりと描く所はまさにイリヤで発揮された業が活きています。少し斜に構えた主人公とツンツン系のヒロインももうお約束とばかりのカップリング。まあとにかくボーイ・ミーツ・ガールモノが好きな人は迷わず買っとけと言うわけです。
全部作者に後書きで言われていてなんだかなぁなんですが、こんな所で終わらせられたので続刊は是非早めにお願い致します。といっても出るのは四月以降のようですが・・・。
ISBN:4840229163 文庫 伊達 将範 メディアワークス 2005/01 ¥704
メドゥーサ編、ついに完結!!
 元の世界に戻るためのリターンワードをようやく手に入れた鷲士と美沙。だが、ゲートに向かう二人の前にミュージアムのハイキュレーター、ヴァン=バチスト・ギヨームが立ちはだかる!!
 そうしている内にも、奇病メドゥーサは猛威を振るい、さらにはクレイトスの隠した核弾頭の爆破時間が刻一刻と迫っていて……。
 年の差9歳の父娘が贈る大人気アクションラブコメ、メドゥーサ編もついに完結!!
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/new/index.php
広げに広げた風呂敷を、良くも畳んだ伊達将範。と誉めたくなるよに纏め上げた分厚い四冊に渡るメデューサ編完結。ラストはシリーズいつもの通りカタストロフからの大脱出。すかっと爽やかに締めて大団円。次への伏線も残して大満足の出来。
・・・と言いたいんですが一概に満足できない部分も。
まずはこれはしょうがないんですが何せ話が四冊に渡っている中で出てきたキャラクターの諸問題を一気に解決している為にキャラが把握出来ないのとその分、話が(上手くまとめてあるとは思いますがどうしても)切れ切れになってしまう所。
そして全てに収拾を付ける必要上、折角の主人公である鷲士と美沙、そして美貴、樫緒の家族のラブラブぶりとか絆のエピソードとかが少なくて残念。個人的にも美貴分が足りないよ、美貴分!!と言いたい気分でもやもや。つーか鷲士君、デーモンにキャラ食われてますよ!?
とまあそんな感じで肝心の主役の活躍がイマイチ薄かったので○に留めましたがシリーズ通せば◎の大作でした。
次は一巻にまとまる形でもしかすると短編集との事ですので鷲士一家の活躍をたっぷり期待しましょう。

△ 銃姫 3

2005年1月11日 読書
ISBN:4840112002 文庫 高殿 円 メディアファクトリー 2004/12 ¥609
自らの出生の謎に迫るセドリックに運命の出会いが!?
自国の民を救おうと、大国の王のもとへ嫁ぐ決心をしたアンブローシア。謎多き自らの過去と向かい合い、運命を切り開こうとするセドリック。穏やかな物腰の陰で、なにかを思い詰めた様子のエルウィング――。それぞれの想いを胸に秘め、謎の「銃姫」の行方を追う三人。道中、突如として彼らの行く手を阻んだのは、魔銃士の少年とその召し使い。ティモシーと名乗る少年は、セドリックの等級タグを狙って決闘を挑んできた。やがて吹き荒れる嵐から逃れ、一行がたどり着いた先に待っていたものとは!?
http://www.mediafactory.co.jp/cgi-bin/bunkoj_detail.cgi?id=1924

最近はMF文庫Jの数作品もそうですが魔法の衰退による魔法と近代科学との融合した世界設定、所謂『スチームパンク・ファンタジー的世界設定の作品が増えてきているような気がします。こう言う作品では大体が何故魔法は衰退したのかが物語の一つの伏線、あるいは重要なキーとなっているようです。
この銃姫でもご多分漏れずその点がずっと伏線として流れながら表のテーマでは主人公セドリックの自分探しと彼を巡るヒロイン、アンの葛藤。そして短期的目標として銃姫を奪った敵の探索が設定されています。
三巻では起承転結の転の部分にあたるでしょうか。序盤はストーリー的には進まないものの、終盤で一気に状況が変化します。
近づく戦争の影、セドリックを巡るアンとエルの執着、魔法そのものの衰退の原因等伏線はてんこもり。後は話を進めるだけなのですがなかなか焦らしてくれます。また主人公自身が内にこもる性格の為かどうも作品自体が暗いんですな。どよーん。
で、評価としてはこの巻は△。
しかし、それはそれとして大きくストーリーが動きそうですので次巻を楽しみにしています。
そろそろ今年も最終更新です。
本年はお世話になりました。来年も宜しくお願いします。

で、今年はライトノベルの総括本がいろいろ出されてランキングなども様々行われたようですが、やはり歴史から言うと2chライトノベル大賞こそが正当なランキングでしょう!!(・・・・)
『2chライトノベル大賞 栄光の記録』
http://www.geocities.co.jp/Bookend/3018/lnprz.html

まあそんなわけで2004年下半期の大賞も迫る中、本年7月〜12月までの個人的良作(この日記のプロフで言うところの◎評価)作品を抜き出してみました。こんな感じ。

8月  田口仙年堂『吉永さん家のガーゴイル 4』ファミ通文庫
8月  小川一水『復活の地 II 』ハヤカワ文庫JA
8月  ヤマグチノボル『描きかけのラブレター』富士見ミステリ文庫
8月  葉山透『9S〈ナインエス〉 IV』電撃文庫
9月  新井輝『ROOM No.1301 #3 同居人はロマンティック?』富士見ミステリ文庫
9月  成田良悟『バッカーノ! 1933 〈上〉 the Slash 〜クモリノチアメ〜』電撃文庫
10月 小川一水『復活の地 III 』ハヤカワ文庫JA
10月 桜庭一樹『GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―』富士見ミステリ文庫
10月 田代裕彦『平井骸惚此中ニ有リ 其参』富士見ミステリ文庫
10月 時雨沢恵一『キノの旅 VIII -the Beautiful World-』電撃文庫
10月 伊都工平『天槍の下のバシレイス (1) まれびとの棺 』電撃文庫
11月 伊都工平『天槍の下のバシレイス (2) まれびとの棺 』電撃文庫
11月 成田良悟『バッカーノ! 1933〈下〉THE SLASH 〜チノアメハ、ハレ〜』電撃文庫
12月 師走トオル『タクティカル・ジャッジメント 6 湯けむりのディスティニー! 大舌戦編』富士見ミステリ文庫
12月 新井輝『ROOM No.1301 #4 お姉さまはヒステリック!』富士見ミステリ文庫
12月 十文字青『薔薇のマリア I..夢追い女王は永遠に眠れ』角川スニーカー文庫
12月 桜坂洋『ALL YOU NEED IS KILL』集英社スーパーダッシュ文庫
12月 米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』創元推理文庫

電撃文庫はともかくとしても富士見ミステリ文庫の比率がかなり高いのは趣味なんでしょうか。まあシリーズ物が比較的多く出たと言うのもこの下半期の特徴かも知れません。またもう少し新人の方の作品を開拓したかったのですが数が少なくこの評価となりました。
大賞はこの中から幾つかチョイスしてと言うことになるでしょうが正直迷う所です。
来年もまた良作と出会えますように。
それではまた来年。
ISBN:4840111960 文庫 ヤマグチ ノボル メディアファクトリー 2004/12 ¥609
「使い魔」才人と「ご主人様」ルイズの新しい冒険開始!
異世界・ハルケギニアに使い魔として「召喚」されてしまった才人。可愛いけれど魔法の才能はゼロのご主人様・ルイズとともに、アンリエッタ王女から頼まれた任務を無事果たした。ルイズは自分を守るために戦ってくれた才人を意識しはじめ、着替えや洗濯を自分でやったりして、ちょっぴり優しく接するようになる。だが、才人は急に変わったルイズの態度に「嫌われて警戒されてる……」と勘違いして卑屈になってしまい、全然かみ合わない毎日が続いていた。そんな折、ルイズはアンリエッタの結婚式の巫女役を仰せつかる。巫女は『始祖の祈祷書』を持って詔をとなえるのが役目で、ルイズは学院長から『始祖の祈祷書』を預かるが……。
http://www.mediafactory.co.jp/cgi-bin/bunkoj_detail.cgi?id=1927
あっと言う間に第三巻のこのシリーズ。主人公がやたらモテまくってきたり、最後は一気に敵が壊滅しちゃったりしてどうもご都合主義が気になっていたり。またヒロインのルイズがどうしても趣味でなかったり、史実の名前をそのまま使ってたり、共和国なのに皇帝ってなんなのよ!とか突っ込んだり、なんか不満だらけなんですが・・・それを差っ引いても王党派VS共和派の対決とか魔法に関する謎とかいきなり出てくる零戦とかかなり趣味をくすぐりまくられているので佳作認定ってな感じです。
このシリーズはイラストも含めて多分評価はかなり極端に分かれるんじゃないかなぁと思うのですがどうなんでしょうか。
でも続きが気になる事は気になるんですよね。この作品。
MF文庫Jでは結構売れてるシリーズだと思います。

年末の獲得品

2004年12月27日 読書
多分今年、本を買うのはこれが最後かもしれない。

漫画
少年画報社
・六道神士
 『エクセル・サーガ13』
・平野耕太
 『HELLSING7』
スクウェア・エニックス
・小島あきら
 『まほらば8』

小説
・今野緒雪
『マリア様がみてる イン ライブラリー』
・西澤保彦
『生贄を抱く夜』

エクセルサーガ。相変わらず良い抜けっぷりだ。六本松がワックスで滑っていく様は前回にも同じようなシーンがあったが真面目に笑える。それにしても相変わらずエロいな。
ヘルシング。だれだれ。もうあかんかな、この人も。旬は過ぎたか。少なくとももう少しストーリー展開が速くならない限りそろそろ見限る。
まほらば。これもアニメ化かよ。いい加減にしなさい。正式カップル化で何か変わるか?でもそろそろ終わりにしても良いような予感。
小説未読。久しぶりの西澤氏のチョーモンインシリーズ新刊にわくわく。

本日の購入品

2004年12月25日 読書
漫画
・芳崎せいむ
 『金魚屋古書店1』
小説
集英社SD文庫
・佐々原史緒
 『かくて流転の定めはつづく トワイライト・トパァズ2』
MF文庫J
・高殿円
 『銃姫3〜Two and is one〜』
・ヤマグチノボル
 『ゼロの使い魔3 始祖の祈祷書』

※ホーンテッドは1〜2とも様子見。

○ 星界の戦旗 4

2004年12月24日 読書
ISBN:4150307741 文庫 森岡 浩之 早川書房 2004/12 ¥546
〈アーヴによる人類帝国〉と〈三ヵ国連合〉との戦争は七年目に突入した。
戦況は帝国に有利に展開していたが、さらなる攻撃のために、新たな作戦『双棘』が発起され、ラフィールとジントは、襲撃艦〈フリーコヴ〉で、ラフィールの弟ドゥヒールは、戦列艦〈カイソーフ〉に乗り組み、出撃する。
そのころ、皇帝ラマージュと〈ハニア連邦〉とのあいだで、とある密約がなされようとしていた。
大詰めを迎える戦争、その行方は?
http://www.hayakawa-online.co.jp/newsbody.asp?newsid=000738
と、言うわけで随分と待たせたあげくに漸く復活した星界シリーズ最新刊です。
とりあえず読者としては復活しただけで一安心と言う所なのですが、今回に関しては戦争の戦略面作戦面戦術面と兎に角戦争がどう展開していくかがメインになっており、残念ながらラフィールやジント、エクリュア等キャラ同士の絡みの部分はかなり薄いと言う結果になっています。また一部で根強い御人気のスポール閣下と不幸な参謀殿のコンビも今回は出番無しとキャラクターメインの読み手には少々残念な一冊となったようです。まあ個人的には十分楽しめましたが。
但しハニア連邦接収の決断の部分は自分的にも少し?な部分がありました。それとやはり戦略状況の図解は欲しい所ですよね。アニメのムックを買った方などは解るのでしょうが・・・。
とにかく原寮もこれからコンスタントに作品を出していくとの事、森岡氏も負けずに次回は早めにお願いしたい所です。
これで後の問題児は佐藤大輔だけですな!
ISBN:4488451012 文庫 米澤 穂信 東京創元社 2004/12/18 ¥609
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に駆られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星をつかみとることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。解説=極楽トンボ
http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3319
私のお気に入り作家の一人、米澤穂信さんはライトノベルレーベルから一転、日常の謎派ミステリの発祥の地たる創元推理文庫から新刊。
その作風は若竹七海に似、さらりとしたストーリーながら随所に見せる人の負の部分の描き方が上手く作品全体がぴりっと引き締まる。話の転がし方もなかなかで、最初は物足りなく感じていても最後にはぽんと手を叩いて面白かったと独白出来る。
一貫して高校生の周りの出来事と言う青春ミステリを書きながら様々なバリエーションを見せてくれる著者。次は是非角川スニーカーの古典部シリーズの続刊を期待したい。
地味すぎる程地味だがきっちりと仕事をしてくれる人が大好きです。
ISBN:4086302195 文庫 桜坂 洋 集英社 2004/12 ¥600
ぼくらはループする。このクソったれな恋と戦場を――
敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。出撃。戦死。出撃。戦死。ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でひとりの女性と再会する……。ケイジは絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することができるのか!?
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4086302195
好みのタイムループ物。近年のライトノベルだと新井輝のDEARシリーズがこれにあたる。しかし、こちらはなんと言ってもループする状況が状況。
敵は人類を圧倒する異生物。世界がひとつまたひとつと不毛の砂漠に姿を変える中、ついに日本首都圏を視野に入れる島で決戦が行われようとしていた。ってなんか最近こう言うシチュエーションの小説が多いです。まあそれはともかくその決戦の一日を限りなくループする事になったケイジがそこから抜け出すべく一度死ぬ事に経験を重ねていく様や、リタとの邂逅、そしてラストと緊張感を持続させながら一冊をしっかりと読まさせてくれます。
ハードな戦場ものでSFでしかもループ物。しっかりツボを抑えた自分好みの良作と言えるでしょう。しかもヒロインもツンツン系ですしね。好みが合わなくても読ませるだけの力はあると思われ、◎はけして贔屓目だけではないと言う事で年末に良い収穫でした。
ISBN:4840228876 文庫 吉田 親司 メディアワークス 2004/12 ¥704
記憶の匣を開けるのは、一本の糸
 国際都市横須賀には奇妙な仕事を生業とする者がいる。有限会社〈記憶屋〉。若く美しい女性・摩周美冴とその息子・誠人、社員はこの二名のみ。その仕事は特殊な技能を駆使し、人の記憶を改ざんすること。裏稼業に勤しむ彼らは今日も──。
 美冴の命を受け、標的の許に乗り込む誠人。着実に仕事をこなすかに見えたその時、さらに第二の襲撃者が現れ……!? これが摩周母子を巻き込む、凄絶な死闘の始まりだった!!
http://shop.mediaworks.co.jp/ds_item.php?isbn=4-8402-2887-6
万能美女とマザコンクール少年とはちゃめちゃパワフル美少女?が大暴れするSFアクション。
記憶を改竄出来る能力と言うのはこれまでも類型的なキャラクターは多く、その多くがその業故の暗さを持っていたりする訳ですが、この作品はそのあたりあっけらかんとしたもので、ひたすら怒涛の勢いでストーリーを進めていきます。
敵がなんか情けなさすぎだったり、もうちょっと記憶を弄ると言う行為に関して重いものがあっても良いんじゃない?と個人的には思いますが、第一巻はまさに序章と言う感じでシリーズ化を狙った構成になっていますので、そのあたりは今後の展開次第と言う所でしょう。少なくとも止まらずには読み進められるので△の上と言うことで。

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鴉

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